<この体験記を書いた人>
ペンネーム:まー子
性別:女
年齢:38
プロフィール:持病のために20年ぶりに実家に帰りました。
持病の難治性成人型アトピー性皮膚炎が大悪化した私(38歳)は仕事を退職し、しばらくの間療養するため、20年ぶりに実家に帰ってきました。
久しぶりの両親(70代)、妹(34歳)との生活は新鮮で、毎日の食卓で交わす会話はどれも温かく、久しぶりの家族との時間を楽しんでいました。
その反面、20年もの時の経過とともに、お互いの考え(価値観)や趣味嗜好の変化に驚くことや、今まで気づかなかった性格の一面を垣間見ることもありました。
私は約15年のサラリーマン生活から、何でも効率的、生産的に物事を考えることが身についていましたし、そのように考えるのが好きなタイプです。
自分で言うのもなんですが前向きな方で、海外経験も豊富なことから古い考えに縛られず、中立な立場から物事を見ようとします。
それに対し、母は基本マイナス思考。
感情的で、自己肯定感が低く、何事も「ちゃんとやらなきゃ」「~しなければいけない」思考が強く完璧主義。
実家滞在中は母と一緒にいる時間が特に長かったので、気がつくと1日に20回くらいは「~しなきゃ」「~しないとダメね」なんて言っていて驚きでした。
どこからどう見ても自分で自分を縛っているように見えて苦しそうなのです。
母は祖母から「ちゃんとしなさい」「周りに迷惑をかけないようにしなさい」「みっともない真似はしないように」という徹底した教育で育てられました。
今は亡き祖母を思い出すと、私も小さな頃はよく叱られていました。
この世の中にやらなきゃいけないことなんて一つもなくって、全ては自分で「選んで」いるんだよな...と思った私は、一つ母に提案をしてみることにしました。
「『~せねばならない』思考を一旦やめて、『〜したい』に変えてみたらどうかな。やらなきゃいけないと思っていることも、実は全て自分が選んでいるんだよ。辛かったらそもそもやめてもいいんだよ」
名付けて「脱マスト!」です。
これを聞いた母は、えらく納得していました。
母はその日から、自分が1日に何回「~しなきゃ、~しないとダメ」を言っているかを数えはじめ、その数にびっくりしながらも、一つ一つ丁寧に「~しなきゃ」を「~したい」に変えていきました。
あまりにも無意識に使っていたからか、最初はとても苦戦していた母。
私は母が「~しなきゃ」を言う度にツッコミを入れていました。
それから母はみるみると軽く、明るく変化していきました。
そして「同じやることでも、言い方が変わると捉え方も変わって取り組むのが楽しくなった!」と聞いて、私も嬉しくなりました。
病気がキッカケで私が実家に帰省し、家に新しい風が吹いたと喜ばれました。
このタイミングで病気になったのも意味があったのかも。
そう思うと人生って本当に無駄な経験はないですよね。
辛く苦しかった病気にさえも感謝です。
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