<この体験記を書いた人>
ペンネーム:夢乃
性別:女
年齢:53
プロフィール:2人の子供を社会人にまで育て上げ、これからは自分の時間を楽しもうとしていた矢先に母を引き取り、日々悪戦苦闘。
若気の至りで35年前に授かり婚をした私ですが、元主人と出会ったきっかけはアルバイト先でした。
誰にでも優しく、思いやりがある人でした。
思ったことはちゃんと口に出して言ってくれるし、見た目も今でいうイケメン。
水商売のお姉さま方にモテそうな割と綺麗な顔立ちと筋肉質な体型で、私にとっても理想の男性がそこにいるような感じでした。
7歳年上で、当時の私は親に関する悩み事をよく彼に話を聞いてもらっていました。
他人の話を嫌がらずに聞いてくれて、それだけでもいい人と思ったものです。
やがて恋心が芽生え、どうしたら彼と付き合うことができるか考えるようになりました。
出会った頃はまだ私は高校1年生で、彼にとってはまだまだお子様だと思われていたようでした。
知り合って半年が過ぎた頃、初めてのデートにこぎ付けることができ、その時は映画を見に行くだけだったのですが、私はとても有頂天になってはしゃいでいました。
今思えば相当お子様だった私は、何かにつけて彼をデートに誘ってはいろんな話をして喜んでいました。
デートを何度もしてはいましたが、交際には至っていないため、いつも夕方になると寂しい気持ちでいっぱいでした。
そこで、知り合ってから半年、意を決して自分から彼に告白をしました。
そして彼も私を憎からず思っていてくれたようで、付き合う事になったのです。
ですがそれは、まるで昔の少女漫画のような付き合いでしかありませんでした。
手をつないだり腕を組んで歩いたりはするのですが、恋人同士のような付き合いまではいかず、とうとうしびれを切らした私が彼に「なぜ何もしてくれないの?」と言ってしまいました。
すると彼の口からはこんな言葉が出てきたのです。
「まだ学生だから、もう少しして卒業したらと思っていた。それまでは待とうと思っていたんだ」
その言葉を聞いた私は、嬉しくて舞い上がっていました。
現代では考えられない、いえ、当時でもほとんどいないと思いますが、本当に少女漫画の世界を素でいっていたのです。
彼からしてみれば周りの目も気にしていたのだと思います。
それでも私はその言葉を聞いて、この人ならずっと一緒にいられるかもしれないと真剣に思うようになっていました。
彼は私自身が間違った事をするときちんと怒ってくれて、嬉しいことがあると一緒に喜んでくれました。
時が過ぎて私は高校を卒業し、はれて恋人同士になりました。
やがて長女がお腹に宿ったときには、私の両親にきちんと話をして結婚の承諾を得、幼いながらに結婚生活に入りました。
出会った頃、私は本当にお子様でした。
ですが、母親になり少しずつ考え方が変わってしまったのか、いろんな意味で私自身も成長したのかもしれません。
とても大人に見えた彼は、私から見て成長していると感じられなくなりました。
どこかですれ違いが生じるようになってしまい、長男が生まれた時にはお互いの気持ちが冷めてしまったようで、お別れをすることにしました。
もしかしたらもう少し、私が折れてあげられたら、今でも一緒にいられたのかもしれません。
今は子供たちも社会人になり巣立っています。
私自身も再婚を考えることがあります。
ですが、あんなに一緒にいたいと思えるような人には、もう出会えないのかもしれません。
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