<この体験記を書いた人>
ペンネーム:やまと
性別:女
年齢:40
プロフィール:50歳の夫と二人暮らしの主婦です。
40歳の主婦です。
現在70歳の母が50歳だった20年前、進学のために実家を離れて一人暮らしをしていました。
学生生活がとても充実していたので、あまり頻繁に実家に帰る事はあまりありませんでした。
元々母とはとても仲が良かったのでよく電話をかけていたのですが、ある時からだんだんと母が電話に出なかったり、出ても何となくボーッとした反応だったりすることが増えました。
さらに、昼夜を問わず「寝ていたのに起こされた」と言う事が多くなったのです。
母が言うには、最近日中にとても眠くなってウトウトすることが多かったり、逆に夜は眠れなかったりするということでした。
少し気になってはいたものの、私が家を出たことで自由な時間が増え、好きな時間に昼寝ができていいな、というくらいに考えていました。
元々はまじめで几帳面な性格だった母。
私も厳しくしつけられたので、育児や家事から解放され、心にゆとりができたことは、専業主婦の母にとってはむしろ喜ばしいことだろうな...と思ったのです。
しかしある日、夕方の5時くらいに電話をかけた時のことです。
母は開口一番「寝ていたのに起こされた」と一言。
そして、「5時なのに何言ってるの〜」と言う私に「こんな早朝にかけてこないでよ」と言ったのです。
何と、母は夕方の5時と朝の5時の区別がつかなかったようです。
さすがにこの時はおかしいなと思いましたが、当時の私にはどうにもできませんでした。
そしてついに事件が起りました。
母が、友人との夕方からの約束を寝坊してすっぽかしてしまったというのです。
ある日母に電話をかけると、とても気まずそうにしていしました。
「何かあったの?」
「実はね...」
言いにくそうに友人と演劇を観に行く約束をすっぽかしてしまったことを話してくれました。
私もさすがに呆れました。
「何してるの! 昔から、私には遅刻をするなと厳しく言ってきたくせに。だらしないよ!」
そう怒る私に、母は「ごめん...」と謝るばかりでした。
今から考えると、母の症状は更年期障害だったのかもしれません。
更年期に私が家を出るというライフスタイルの変化が起こり、生活のリズムが狂ったことが大きく影響したのだと思います。
しかし20年前はまだ、更年期障害で通院をする事が一般的ではなく、母も病院を頼ろうとはしませんでした。
結局市販の薬や漢方薬で睡眠リズムは元に戻せたようで、幸いなことにその後は大事にはなりませんでした。
けれど...今、私も40代になりました。
周りの友人や先輩からは、ちらほら更年期の話題が出始めました。
イライラする、汗が出るなどに加え、不眠や日中に眠くなるなど、母に当てはまるような話もよく聞きます。
今から思うと、あの時にもっと母を理解して一緒に考えてあげられていたらと後悔しています。
母と更年期障害の話をしたことはまだありませんが、今度機会を見つけて話し、20年前のことを謝ろうと思います。
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