<この体験記を書いた人>
ペンネーム:向日葵
性別:女
年齢:52
プロフィール:脳梗塞の夫と二人の子供と暮らす、働くお母さんです。
夫(57歳)は仕事人間で、真面目な人です。
もちろん、私が知る限り浮気もしたことはありません。
しかしある日、押し入れを整理していたら、古いデパートの紙袋の中から夫の若かりし頃に使っていたらしい黒いビジネス手帳と、指輪ケースが出てきました。
今から33年前、夫が23、4歳頃のものです。
私が夫と出会ったのは、夫が27歳の頃なので、それよりも前のもの。
何気なくページをめくっていると、ある日に赤丸が付いていて、「○○とデート」と私の名前の記載が。
しかし、この手帳を夫が使っていた時、私とはまだ出会っていないのです。
パラパラと手帳をめくっていると、後ろの方に挟まっいていた写真がパサリと床に落ちました。
拾って見てみると、若かりし頃の夫と見知らぬ女性が浴衣姿で満面の笑みを浮かべて写っています。
一目でお泊りデートだと分かる写真で、私と出会う前の事にも関わらず、ドキっとしました。
裏を見てみると、「熱海温泉で○○と」と見慣れた夫の文字で書かれており、更にドッキリ。
なんと、写真の彼女は私と同じ名前。
それも漢字まで一緒だったのです。
「うわー。こんな偶然もあるんだ」
半ば呆然としつつ、そういえば指輪ケースがあったなと思い出しました。
指輪ケースを開けると、中あったのは、シンプルなシルバーの指輪が二つ。
「これは、もしかして、写真の彼女に送ったもの?」
ドキドキしつつ、指輪を手に取りました。
一つは夫の指にちょうどいいサイズ。
もう一つはかなり小さなサイズです。
大きい方のリングには、『A to K』、小さい方のリングには『K to A』との刻印が。
ここにしまわれていると言うことは、彼女とは上手く行かなかったのでしょう。
だからこそ、私が今、妻としてここにいるわけですから。
30年以上も前に夫が付き合っていた彼女との仲睦まじい写真があっても、彼女とのペアリングが残っていても、それこそ遠い昔のこと。
夫だって、元カノの1人や2人はいるでしょう。
名前が同じという妙な偶然に感心はすれど、やきもちを焼く気にはなりません。
思い出としてそっとしておくに限る。
そう思い、写真を手帳に戻して指輪と一緒に紙袋の中にしまっているところに、なんというタイミングか夫が様子を見に来たのです。
「あ、その袋!」
脳梗塞の後遺症で新しい記憶は忘れやすい夫ですが、昔のことはとても良く覚えています。
デパートの袋を見てすぐに中身が分かったらしく、袋を手に取り中身を開けました。
「おー。これ、残ってたんだー」
嬉しそうにニコニコ笑顔を浮かべる夫は、得意そうに当時の話を始めました。
「この頃、彼女との結婚資金を貯めるために節約しまくったんだ」
「1年で200万円、貯めたんだぞ!」
得意そうに夫は当時を振り返ります。
そこまではよかったのですが、続いて夫が放った言葉に私は固まりました。
「この指輪、使うか? イニシャル彫ってあるけど、名前一緒だから大丈夫だろう?」
いくら同じ名前でも、他の女性に送るはずだった指輪を妻にプレゼントしようなんて、いくらなんでもデリカシーが無さ過ぎでしょう!
「指輪は間に合ってますので、いりません!」
丁重に元カノ指輪のプレゼントはお断りしました。
「なに、怒ってるんだよ。いい年してやきもちか?」
私がむっとした原因が分からず、見当はずれなことを言う夫にため息しか出ません。
残念ながら、やきもちは一ミリも焼いていませんよ。
それよりも、もっとデリカシーを持ってください!
正直な気持ちを言えばケンカになることは目に見えているので、そっと1人、心の中でグチった私です。
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