<この体験記を書いた人>
ペンネーム:masako
性別:女
年齢:53
プロフィール:53歳の主婦です。56歳の夫と2人暮らしです。若い頃、憧れの男性から悪質な勧誘を受けました。
先日、詐欺まがいのマルチ商法と思しき勧誘の電話があったので、若い頃、憧れの男性から受けた悪質な勧誘を思い出しました。
1990年、当時23歳だった私は、ある美容院の男性美容師Aさん(当時27歳)に一目惚れしました。
「この人こそ運命の人」と信じて、私はAさんの美容院に通い詰めました。
その美容院では、美容師が自分のお客さんがエレベーターに乗るまで見送ってくれるので、短いですが2人きりになる時間があります。
ある日、2人でエレベーターを待っていると、なんとAさんからのお誘いが!
「今度の定休日、ちょっと付き合って貰えないかな? 自分は甘い物が大好きだけど、男が一人で食べるのは恥ずかしいから、一緒に行って欲しいんだ」
私はこのお誘いを「スイーツにかこつけたデートのお誘い」と受け取り、「絶対に行きます」と、天にも昇る気持ちで応じました。
「じゃあ、悪いけれど、ここに電話してくれる?」
そう言うとAさんは電場番号と電話に出られる時間が書かれたメモを手渡してきました。
その日のうちに電話をすると、ちゃんとAさんが電話に出ました。
本当に電話番号を教えてくれたのだと嬉しく思いながら、待ち合わせ場所を決めました。
当日、精一杯のおしゃれをして待ち合わせの喫茶店に行き、2人で大きなパフェを食べました。
支払いはAさんがしてくれました。
「このあと映画にでも行くのかな」
なんて思っていたのですが、Aさんは「面白そうな講演会を見つけた」と私を近くのビルの一室へと連れて行きました。
確かにそのビルの案内板には「●●先生講演会 演題 私の成功物語」のように書いてあったと記憶しています。
内容を要約すると、こんな感じです。
「我々の開発した健康器具は素晴らしい。会員となってこの健康器具を買い、会員の輪を広げていけば、何もしなくても月に100万は稼げる」
そう、「マルチ商法」の勧誘でした。
私はAさんに騙されたのです。
すぐにでも逃げ出したかったのですが、Aさんは「契約するまで絶対に帰さないぞ」とばかりに私の一挙一動を注視しています。
さらに、講師の巧みな話術に踊らされ、会場が「これは会員になって買うしかない」という妙な熱気に包まれていたのとで、とても席を立てるような雰囲気ではありませんでした。
困り果てていたところ、私の前の席の男性がすくっと立ち上がり、隣に座る若くて綺麗な女性に向かって「これはネズミ講と同じじゃないか! 話が違う、俺は帰る」と叫びました。
彼もまた、私と同じように気になる異性に騙されて連れてこられたのでしょう。
その男性の叫びは、場内の熱気を一気に冷ましました。
その男性が「待って、もう少し話を聞いて」とすがる女性を振り切り、急ぎ足で会場を立ち去ると、「そうだ、ネズミ講だ。俺も帰る」「私も」と、次々と席を立つ人が現れました。
私も「今がチャンス」と一目散に逃げ出しました。
Aさんの私を呼ぶ声が聞こえましたが、振り返りませんでした。
その後、Aさんの美容院には行っていません。
Aさんの電話番号もその日のうちに、ビリビリに破いて捨てました。
半年後、その健康器具の会社は法律違反で業務停止になりました。
もし、前の席の男性がいなければ、契約させられ、違法な勧誘に手を染めていたかもしれないと思うと、30年経った今でもヒヤリとします。
関連の体験記:年末年始の悲劇...!新婚夫婦の1LDKの家で4泊5日していった義父母
関連の体験記:「月に一度は泊まりにおいで。楽しいわよ」70代の義母から突然の提案。夫は快諾したけど...
関連の体験記:娘に月2万円を渡して「残りは好きに使っていいよ」って...同棲を始めた彼氏はアホなの⁉
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。