<この体験記を書いた人>
ペンネーム:とらとら
性別:女
年齢:51
プロフィール:今年51歳の兼業主婦。最近若いころはよい意味で従順だったと懐かしんでいます。
私は今年51歳になります。
最近テレビで少し昔の音楽の特集が放送されていて、家事をしながら聞いていると、あみんの「待つわ」が流れていました。
私が若いが頃ヒットして、私も好きな曲です。
そして、聴いているうちに昔付き合っていた人のことを思い出しました。
当時私は就職のため田舎から出て、大阪で一人暮らしをしていました。
その頃お付き合いしていた彼は高校の時の同級生で、同じ田舎から出てきていました。
彼は板前の修業をしに出てきており、私とは違い、同じ職場の人何人かと寮で暮らしていました。
当時は携帯電話など便利なものはなく、デートは時間と場所を決めての待ち合わせが普通でした。
しかし、当時お付き合いしていた彼は高校生の時からとてもルーズで、私はいつも待たされていました。
しかも、連絡しようにも彼は寮暮らしなので電話は寮の共有のものしかなく、誰が出るか分からないので、なかなかこちらからは電話することができません。
しかも連絡がとれないがゆえに「もう少し待てばくるかもしれない」と思うと、立ち去ることもできずに3時間ほど待ったこともありました。
そんな時「待つわ」をよく口ずさんでいました。
それぞれの家からちょうど半分くらいの距離の駅近くに有名な噴水があり、私達はそこを待ち合わせ場所にしていました。
他の人もよく待ち合わせに使う場所で、噴水の音の中で誰かが近づいてくる気配を感じる度にぱっと顔を上げるのですが、近くに座っていた人が「こっちこっちっ!」と立ち上がる度に、はぁっと息をはいたのを覚えています。
それでも私は待たれるより待つ方が好きだったので、いつも約束時間前に着いては本を読んだり、人の流れをぼうっと眺めたりしていました。
「もう来るかな?」
「今の電車でついたのかもしれない」
駅方面の電車の音が聞こえる度にそう思っていました。
少しドキドキに近いワクワク感があり、その時間も嫌いではありませんでした。
ただ、さすがに3時間待った時は、交通事故など何かあったのではないかと心配し、念のため最寄り駅の掲示板にメッセージを書き込んでから彼の寮に向かおうかと思いました。
しかし、ちょうど立ち上がろうとした時に「あ~、まだ居てくれたんだ~」と間延びした声で彼が現れた時には流石にガクッと肩が落ちました。
結局前日の仕込みが遅くなり寝坊してしまったとのことでしたが、3時間も遅刻してよくそんなのんびり来れるな...と少し呆れてしまったのを覚えています。
残念ながら、彼が現在の旦那というわけではありませんが、今思えば若かったのでそんなことが出来たんだなぁと、「待つわ」を久しぶりに聞いて自分で笑ってしまいました。
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