<この体験記を書いた人>
ペンネーム:みけ
性別:女
年齢:51
プロフィール:両親と同じ敷地内に住んでいる51歳自営業。
3年前に当時77歳の父が病気になり、入院した時の話です。
私は両親と同じ敷地内に住んでいます。
その日はお盆休み初日の日曜日で、私も仕事は休みでした。
朝、母から「お父さんが、お腹の調子が悪くて朝ご飯を食べないで出掛けた」と心配した電話がありました。
出掛けた先はすぐ近くにあるうちの事務所と決まっているので、様子を見に行くことにしました。
あれこれ考えながら事務所に入っていくと、父は意外と普通の顔をしてテレビを見ています。
声を掛けると「お腹が痛かったんだけど、今は大丈夫」との返事。
念のため、置き薬の整腸剤を出してあげて、自分の部屋に帰りました。
そして夕方。
両親の家に行き、夕飯の支度を手伝っていた時です。
ふと座っている父の足元を見てビックリ、靴下が血で真っ赤に染まっていたのです。
これはただごとじゃない! 咄嗟に「お酒じゃなくて病院だよ!」父の手から一升瓶をもぎ取りました。
しかし、両親が救急車は呼びたくないと言い出したため、迷いました。
こんな日にどこの病院に行けば? 救急車で行かなければ大きな病院は直ぐに受け入れてくれないだろうに。
同じ敷地内に兄夫婦が住んでいますが、その日は義姉の実家に行っていて不在だったため、私が決めなければなりません。
迷った末に、車で15分程度の地元の総合病院に電話を掛けて受け入れてもらったのです。
しかし、お盆が過ぎた頃のことでした。
父をお見舞いに行った兄から「どうして〇〇(隣の市の大学附属病院)に連れて行かなかったんだ!?」と怒られました。
入院したときどんな騒ぎだったか、また救急車を呼びたくないと言う両親の希望通り、近くの総合病院に行くしかなかったなどの理由も聞かずにです。
さらに驚いたことに、父も兄の意見に迎合して「俺も○○病院に行きたかったんだけど、勝手に決められた」と私を責めていたと言うではありませんか。
兄が〇〇病院の方がいいと考えたのは分かります。
私だって地元の病院よりは、〇〇病院の方が規模も大きく、設備も整っているので間違いないと思っていますから。
そして、信じられないような父の言葉ですが、普段、滅多に顔を合わせることがない兄のお見舞いが嬉しくて、深く考えずに「うん、うん」と頷いてしまったのでしょう。
その頃には老いがグッと進んできていた父だったので、ショックでしたがあきらめがつきました。
だけど、父の言葉を額面通りに受け取って、そのまま私にぶつけてくる兄ってどうなの?
「どうして!?」と怒るなら、肝心な「どうして」を先に聞いてくれてもいいじゃない?
夜中までてんやわんやで大変だったのに、お礼どころか怒られるとは実の兄ながら腹が立ちました。
それで、数日後に会ったときに話をしてみたのですが、兄の口から出た言葉は「親父も〇〇病院の方が良かったって言ってるぞ」でした。
だから、それはさぁ~...。言いかけてやめました。
兄には届かないと思ったのです。
それだけ父のことが心配なのだと解釈しましたが、今でも消化できずにいます。
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