30年前の私は若くて愚かだった...。体調を崩しながら「60歳の既婚カリスマ上司」に片想いした日々

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:Nagisa
性別:女
年齢:49
プロフィール:一昨年人生初の婚活に挑み、電撃結婚して周囲をあっと驚かせました。元バリキャリ、現在主婦2年目です!

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一昨年、晩婚ですが結婚したばかりです。

一生独身のままだと思っていましたが、親が心配するので仕方なく婚活したら、予想外に即結婚が決まりました。

実はその前年の2018年に、ずっと好きだった人を病気で亡くしていたのですが、同年の春に、もう1人、30年ほど前に好きだった人が亡くなっていたことをつい最近知りました。

これは、今まで誰にも打ち明けたことのない秘密の恋です。

社会人になりたてホヤホヤの頃で、私はまだ20歳でした。

私が好きになってしまったのは、既婚者で当時60歳だった上司。

外見も中身も厳しい人で、怖くて近づけない雰囲気を漂わせており、誰でも彼の前では緊張してしまいます。

ですが本当は愛情が深く、仕事もできるので、男女問わず尊敬を集めていました。

女性だと10代から50代、社外でも60代のおば様のハートまで掴んでしまうレディーキラーで有名でした。

それでも、誰かと不倫をしているという話は聞いたことがありませんでしたが、就職して一年経ほど経った頃、そんな彼が私に関心を持ってくれました。

私のいる部署は若い人が少なく、しかも一番年下だったので、単に孫のように気に入られているのだと最初は思っていました。

私は挨拶をしたり、お茶を出したりするだけでしたが、上司は私にだけいつも溢れんばかりの笑顔を見せることに気づきました。

真面目な私は奥さんの気持ちを考えてしまい、禁断の恋を始めるつもりなど微塵もありません。

ある時、日帰りの社員旅行で合同写真を撮る機会があり、上司がわざわざ遠回りをしてきて私にピタリと身を寄せて来たのです。

本当なら、真ん中に立つべき人なのですが、彼に指示できる人は誰もいません。

僅かな瞬間でしたが、とても幸せでした。

後から出来上がった写真を見ると、上司はいつものように私に見せる特別な笑顔を見せていました。

そんな積極的な態度で上司が接してきたのは、それが最初で最後でした。

彼のところには多くの女性がやって来ますから、私にもそれを期待していたのでしょうか。

私は不倫なんかしちゃだめだと自分を抑制し、できるだけ距離を置くようになりました。

上司はそれを感じとったらしく、明らかに不機嫌な表情を見せるようになりました。
すると私は、まだ好きな気持ちもあるのに、彼を恐れるようになりました。

原因不明の腰痛や生理不順に襲われ、初めて婦人科に行きました。

ストレスのせいだったようです。

もらった薬のお陰で生理不順は治りましたが、気持ちの方は解決しません。

入社3年目のある時、ある同僚が幾つかの秘密を私に教えてくれました。

それは私の好きな例の上司が女性社員に手を出した、ということ。

思い当たることがありました。

ある日の終業後、女性と2人で歩いていたのを目にしたことがあります。

彼女は私と同年齢ですが、2年先に入社していた先輩です。

彼女が上司に積極的だったことは知っていましたが、上司の方はクリーンなイメージが強く、相手にしていないようでしたし、仕事の相談事にでも乗るのだろうと、2人の仲を微塵も疑いませんでした。

しかし、真実を聞いた瞬間にさっと熱から覚めました。

私は恋の病から解放されたのです。

身体を壊すほど好きだったのに、突然軽蔑し、嫌いになったのです。

自分でも不思議でたまらない経験ですが、私の恋は敬意を含めるものだったのでしょう。

本当の姿を知って以来、思い出しても少しも心を動かされることはなかったのです。

彼の死を知った時、あの頃の私は若くて愚かだったんだなと、苦い思い出が蘇りました。

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