【本作を第1回から読む】 タピオカ屋はどこに行ったのか。3回目の「タピオカブーム」が前回までと異なっていた点
『タピオカ屋はどこへいったのか? 商売の始め方と儲け方がわかるビジネスのカラクリ』 (菅原由一 /KADOKAWA)第9回【全9回】
街中にあふれていたタピオカ屋が、いつの間にか減っていた...みなさんは、その理由を説明できますか? 想像はできても、説明するとなると難しいかもしれません。SMG税理士事務所代表税理士・菅原由一氏著の『タピオカ屋はどこへいったのか?』は、「場末のスナックの稼ぎ方」や「携帯電話の契約が分かりづらいワケ」など、さまざまな「なぜ」をビジネスの視点から分析しています。日常にあふれるちょっとした疑問を題材に、ビジネスの思考回路を磨きましょう。
※本記事は菅原由一 著の書籍『タピオカ屋はどこへいったのか? 商売の始め方と儲け方がわかるビジネスのカラクリ』(KADOKAWA)から一部抜粋・編集しました。
コンビニの向かいになぜ同じコンビニがあるのか?
数で市場を支配する
新規事業を考える際に重要なのは、どんな市場で、どれくらいの収益を得られるかです。競合の多い市場はレッドオーシャンであり、シェアの奪い合いや価格競争が起きます。かといって競合が少ない市場は需要も小さい可能性が高く、事業として成立するかどうか不安です。
その点で参考になるのがコンビニの出店戦略です。街を歩いていると、同じチェーンのコンビニが目と鼻の先に建っているのを見かけます。これはドミナント戦略とよばれるものです。ドミナントは「支配的」や「優勢」という意味の言葉で、商圏内にチェーン店を増やすことにより、他のチェーンが出店しづらい支配的な状況をつくることができます。
具体的な効果としては、まず商圏内に自社チェーン店を増やすことで、自社チェーン店を利用する人を増やし、認知度も高められます。コンビニは最近、プライベートブランドをつくって差別化を図っています。ナショナルブランドの飲み物やお菓子などはどのチェーンで買っても大きな差はなく、そのような需要を取り込むために、商圏内にチェーン店舗が多い方が有利なのです。
また、同チェーンが近くにあることで商品の搬入が物理的に効率化できます。人手が足りないときに店舗間での人の調達もしやすくなります。