サラリーマンの雇用システムの変化
最近よく言われていることですが、日本の会社員の雇用システムはメンバーシップ型からジョブ型に変わってきています。メンバーシップ型は簡単に言うと「人に仕事をつける」雇用形態、ジョブ型は「仕事に人をつける」雇用形態と言われています。なんじゃそりゃ?と思われる人も多いと思いますが、大事なことなので丁寧に説明していきます。
メンバーシップ型の雇用というのは新卒時の一括採用で労働力を確保し、年功序列の終身雇用で離職を抑止し、会社側の都合で人を異動させる雇用システムです。会社にとって何でもできる都合の良い人(ゼネラリスト)を育てるために色々な部署を経験させたり、勤務地を移動させたりします。そのかわり終身雇用で定年まで、年功序列の賃金で雇いますよというシステムです。
対してジョブ型の雇用というのは「ジョブディスクリプション(職務記述書)」で職務を定義して、それに合った人(スペシャリスト)を雇用するシステムを指します。欧米では一般的な雇用制度です。私も外資系の会社に入った時はこの雇用形態でした。仕事の内容が最初から明示されていて、責任の所在も成果も明確なので働きやすかったです。
仕事の内容がどんどん高度化している現代社会において、専門性の高い人材(スペシャリスト)はますます重要になってきます。雇用の流動化が促されている中、社内政治や社内論理に長けたゼネラリストよりも、専門性の高いスペシャリストの方が転職市場においては優位になります。しかも責任の所在が初めから明確なので、合理的で精神的にも働きやすい。だから、これからの時代は専門性を身に付けていくということに重点を置いてキャリアを進めていくのがいいと私は考えます。
時代はスペシャリスト優位 英語ができればさらに◎
たとえば、経理の仕事をやっていて、その仕事内容が気に入っているとします。そんな中で会社の都合で営業部門への異動の辞令が来た場合、私が30 歳くらいだったら今の会社を辞めて、他の会社の経理の仕事に就きます。その方が経理という仕事の専門性を高められるし、その後転職するにもスペシャリストとして活躍しやすいからです。ただ私がもしまだ
20代だったら、自分の適性に迷いがあるから、異動を受け入れてみるかもしれません。
いずれにしても30代くらいまでに自分の適性を見極め、そこから専門性を高めていく働き方をするのはこれからの主流になっていくでしょう。
加えて、やっぱり外せないのが英語力です。英語ができると何が違うかというと、自分が扱えるお客の数が変わるということです。つまり、国内のお客様だけでなく、英語話者の人が潜在的なお客様になるのです。国内の人口が1億2千万人、それに対して英語話者は11億人以上いると言われています。英語を使えると約10倍の人が潜在的なお客様になるのです。大きいですよね。
そして英語話者のお客様をターゲットにしている会社は、世界中にたくさんあります。英語ができると、日本人だけを相手にしている会社だけでなく、もっと多くの会社に勤めるチャンスが得られるのです。しかも、今は円安で、日本の会社の給料は外国人から見ると安くなっています。それに対して外資系の会社はお客様の人数が多いので、収益の獲得にも力があり、給料設定にも競争力があります。英語に抵抗がないと、そうした会社も転職先のターゲットに入ってくるのです。
外資系といっても日本で法人登記をしてあることがほとんどなので、日本の法律に準じて活動をしています。また福利厚生についても日本の会社と比較して競争力があるので、私が外資系企業で働いていた時も働きにくさは感じませんでした。
でもある日突然、日本から撤退するということはあります。私もその経験をしました。雇用は切られましたが、十分な退職金をもらいました。会社都合での退職だったのですぐに失業手当ももらえたし、かえって得したなと思ってしまったくらいです。そのおかげで次の仕事も余裕を持って考えることができました。
<ニクヨの愛あるアドバイス>
メンバーシップ型ではなくジョブ型の雇用形態が多い今、自分の適性を見極め専門性に磨きをかけ、英語力を鍛えよう。それが大きな報酬につながる転職を可能にする。退職金に縛られて我慢するのは×。