人生100年時代。仕事や子育てから解放されたら何を楽しみますか?「こんなカッコいい70代は見たことない」と言われる人気YouTuber・ロコリさんのモットーは「人生もおしゃれも、自由で楽しくなくちゃ」。『72歳、好きな服で心が弾む、ひとり暮らし』(KADOKAWA)は、年金月5万円のひとり暮らしの毎日を楽しむコツが詰まった一冊です。築50年の家でインテリアや暮らしを楽しむ方法など厳選してご紹介します。
※本記事はロコリ著の書籍『72歳、好きな服で心が弾む、ひとり暮らし』から一部抜粋・編集しました。
【前回】72歳の人気YouTuber・ロコリさんが語る「母親の介護生活」時代
介護に明け暮れた60代が終わって
母の介護が始まったのは私が59歳のときだったので、私の60代はまるまる介護に明け暮れたことになります。
なんとか自宅介護を乗り越えられたのは、ご近所さんが「何かあったらいつでも呼んでね」と言ってくれたり、ケアマネージャーをしている後輩が相談に乗ってくれたりと、周りの助けがあったからです。
彼女が「よくがんばってるよ」と時々はげましてくれたのは本当にありがたかったです。
担当のケアマネージャーさんはもちろん、デイサービスの方々もとてもよくしてくれました。
もしこの方々がいなかったら、この介護サービスというシステムがなかったら、と思うと
ぞーっとするほどです。
母のことは、もっと優しくしてあげたかったという後悔はありますが、亡くなった後に不思議と涙に暮れることがなかったのは、十分やりきったと思えたからかもしれません。
母をよく散歩に連れていった公園を通りかかると、寂しさはありますが感傷にひたることはなく、すがすがしい気持ちもあるのです。
自分自身を今振り返ってみると、60代は仕事と介護でせいいっぱいでした。
大好きなおしゃれはテキトーで、介護が終わってから初めて「抜け感」という言葉を知り、「何が抜けとんのやろ?」と思ったくらいです。
母が亡くなった後のあわただしさが過ぎ、一挙にどーんと落ち込んだときが、私の再出発のスタートだったと思います。
「体もなまってるし、顔を上げなくちゃ」と久しぶりに出かけたウォーキングで、マクドナルドに出会え、新しい生活を始めることができました。
認知症患者に若い頃の写真を見せるのがよいと聞いて、母のために作ったフォトフレーム。スキーにカラオケ発表会、運転手だった頃の写真も。
この年齢になっても、初めてのことっていくらでもあると、つくづく思います。
新しもの好きの本領発揮で、これからもまだ見ぬいろいろな初めてを経験していきたいです。
写真:林ひろし