いつか訪れるかもしれないひとりの暮らしに備え、人生の後半戦は生活を小さくラクにしていきたいもの。将来設計の専門家下村志保美さんに「おひとりさま暮らし」に備えるために「やめること」「備えること」をお聞きしました。
専門家に教わる「やめること」「始めること」
楽しいことは続けてOK
無理をしないことが大切
「今のうちに暮らしを小さくしていくと、生活も心も軽くなります。まず考えたいのは、将来どんな暮らしを送りたいか。その目標に向けて暮らしを小さく整えれば、無理なく備えることができます。やみくもに節約するのではなく、目標に近づくためには何が不要で何
が必要か、紙に書き出してみてもいいでしょう」(下村さん)
【やめる】なんでも"夫婦一緒"は卒業
「食事や買い物、お出かけなど、これまで夫と2人で行っていたことをやめ、お互いが依存せず、1人で行えるようにしていきましょう。互いの親の面倒はそれぞれが見るようにするなど『自分のことは自分で』というクセ付けを。寝室を別にし、"自分の時間"を確保することもおすすめします」(下村さん)
《夫の自立を支えましょう》
簡単な朝食作りや買い物、ATMの使い方など、夫がひとりの暮らしになった際に必要なことを夫に学んでもらい、自立を促しましょう。
【やめる】安いだけの買い物はしない
「安いというだけの理由でプチプラコスメやB級品の食器などを買うのは終わりに。お金はお墓に持っていけないものですし、大人世代になったからこそ質の良いものを楽しみ、自分を大切にしてあげましょう。ちょっと良い旅館に泊まる、セルフの白髪染めをやめて美容院へ行くのもいいですね」(下村さん)
【やめる】大きな出費はやめる
「収入が年金だけになる中で大きな買い物をするのはハイリスクです。定年後にお金が増えることはまずないので、今ある資産を大事にしましょう。ただし『豪華客船の旅』など、ご自身の夢だったことは高額であってもあきらめなくてOK 。その他の部分で節約するなどして、乗り切りましょう」(下村さん)
《こういう出費は避けましょう》
自家用車の乗り換え/孫の教育資金/お金のかかるリフォームや建て替え/引っ越し/ローンを組むような買い物 etc.
【やめる】子ども部屋はお役御免!
「子どもたちが無事に巣立ったら、子ども部屋をきれいに片付けましょう。空いた部屋は、これまで屋根裏や物置の奥など取り出しにくいところにあった荷物を置くスペースにしたり、自分専用の部屋にして活用。オンラインヨガを受ける部屋にするなど、趣味の部屋にするのもいいですね」(下村さん)
《片付ける際のコツ》
天袋やクローゼットの上部、屋根裏収納など、高い位置に物をしまうと出し入れに苦労するだけでなく、危険が伴うのでやめましょう。空いた子ども部屋を物置として活用して。
【やめる】死亡保険は終わりにする
「遺族への補償を目的とした『死亡保険』は、本来働いて収入を得られるはずだった年齢(定年)まで入っていれば十分。年金生活に入ったら必要のないものなので解約しましょう。医療保険やがん保険なども、すでにまとまった預貯金があれば不要なものなので、見直しを」(下村さん)