死んだようなスカスカな心を抱えて、ベッドに直行する日々。/自分を好きになろう

双極性障害の治療後、長く続く抑うつ状態と向き合ってきた筆者。ネガティブな世界からのサバイバルをあと押ししたのは、意外にも簡単な7つの「行動」でした。2ヶ月ぶりの換気、10秒片付けからはじまる、抑うつ状態への行動療法、認知療法的アプローチの実践と記録に、「自分を好きになる」ためのヒントを探してみましょう。

※この記事は『自分を好きになろう うつな私をごきげんに変えた7つのスイッチ』(KADOKAWA)からの抜粋です。

pixta_46971250_S.jpg前の記事「「自分が嫌い」。だけど、変わりたい......。/自分を好きになろう(1)」はこちら。

【前回までのあらすじ:1章】
記者として東日本大震災の被災地取材を続けるうちにうつ病を発症。
のちに双極性障害の診断を受けて、2年間の休職と投薬治療後、社会復帰を果たした筆者。
それでも、喜びや悲しみ、意欲などの感情を取り戻すことはできずにいました。

 

家に帰ったら、ベッドへ直行

彼が去ってからの私は、仕事を終えると、スーパーに寄って惣菜弁当と缶酎ハイを買い、家にまっすぐ帰りました。夜の街のバーに入って、ちょっといいなと思う男の人に媚(こび)を売ったりとか、そういうことに全く興味がなくなりました。ひとりで部屋に戻り、着ていた服を脱ぎ捨てソファーに積み上がった服の山の上に放り投げるとすぐに、ベッドに潜り込みました。

スーパーの惣菜弁当は、ベッドの中で寝ながら口に放り込み、缶酎ハイで胃袋に流し込みました。食べ終わったら、スーパーの袋に入れてベッドサイドに積み上がったゴミの山に捨てました。

ベッドの中で、私は、「この先、きっといいことなんか何もないだろうな。確かに病気はよくなっているんだろうけれど、そのおかげで仕事もできるようになったけれど、心が死んだみたいなこの気持ちはなんとかならないのかな」と、悶々(もんもん)と考えていました。

以前、双極性障害の治療のために1年4ヶ月ほど療養していた時もそうだったのですが、何もしていないと、時間が経つのがものすごく早いのです。昼前に起きて、散歩に行き、ベンチに座って太陽を浴びて、食事を作って食べて、ネットをして寝る......という毎日を繰り返していると、記憶に残るような刺激がないので、毎日が全くおなじように過ぎるためだと思います。1年4ヶ月が3ヶ月ぐらいに感じました。

そして、今回も、ベッドの中で惣菜弁当と缶酎ハイをお供にしながらネットをしていたら、いつのまにか2ヶ月経っていました。状況はどんどん悪くなっていくような気がしました。

彼に会いたくてたまらなかったけれど、会ってもどうにもならないような気がしました。どんな手を使ってでも無理やり連絡して会って、謝って、すがったら、優しい彼は何度かは、付き合ってくれるかもしれません。

でも、彼に連絡することはもうできませんでした。

自分の心のスカスカ感、つまり不充足感を、彼という存在を利用して埋めようとしたら、それはこれまでの「モテ」のためにしてきた不毛な行為にとても似ているような気がして、やっと好きになれる人に出会えたと思ったその彼には、そういうことをしたくないと思いました。

孤独だけれど、どうしたらいいのか全然わかりませんでした。布団の中で、弁当を食べながら、スマホでSNSをしたりネットを眺めて、眠くなるまでの時間を過ごしました。

 

次の記事「ゴミ屋敷に届いた一本の電話をきっかけに、汚部屋で暮らす自分を客観視。/自分を好きになろう(3)」はこちら。

 

 

岡 映里(おか・えり)

作家。1977年、埼玉県三郷市生まれ。職を転々としながら、慶應義塾大学文学部フランス文学科卒業。のち、Web開発ユニット起業、会社員、編集者、週刊誌記者などの仕事を経る。2013年、双極性障害と診断され休職、離婚などを経験。2年間の治療を経て2015年に症状が落ち着く。以後も続いたうつ状態を、行動療法、認知療法的な視点から改善。

 

瀧波ユカリ(たきなみ・ゆかり)
漫画家。1980年北海道札幌市生まれ。2004年、月刊アフタヌーンで四季大賞を受賞しデビュー。エッセイも発表している。

(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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『自分を好きになろう うつな私をごきげんに変えた7つのスイッチ』

岡 映里[著]・瀧波ユカリ[漫画]/KADOKAWA)

双極性障害の診断を受け、休職して2年間治療に専念。その後、長く続く抑うつ状態に向き合った筆者がたどり着いた、「行動」による回復の軌跡をたどるエッセイ。片付け、おしゃれ、筋トレなど、うつな思考回路から解放されるためにトライすべきことがわかる一冊です。

 

この記事は書籍『自分を好きになろう うつな私をごきげんに変えた7つのスイッチ』からの抜粋です
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