そのうつ症状、本当に更年期によるものですか?/更年期障害(16)

pixta_29510890_S.jpg40代半ばを過ぎて妙にイライラすると感じたら、更年期が始まっているかもしれません。更年期は、思春期と並ぶホルモンの大変動期で、疲労や肩こり、のぼせなど、これまで感じなかったさまざまな不調が起こりやすくなります。ひどくなると、更年期障害と呼ばれ、日常生活に支障をきたすこともあります。

この大変動期をできるだけ心地よく過ごすにはどうしたらよいのか、飯田橋レディースクリニック院長の岡野浩哉先生にお伺いしました。今回はその16回目です。

前の記事「更年期障害に役立つ漢方薬とは?/更年期障害(15)」はこちら。

 

更年期のうつと、本当のうつは違います

体がだるい、何もかもが億劫に感じられる、落ち込みやすいといったうつ症状は、更年期に起こりやすいものです。これは、卵巣機能の低下によりエストロゲンが減ることで、セロトニンなど脳内で働く神経伝達物資の働きも不安定になることが原因です。セロトニンの働きがうまくいかなくなると、認知機能や集中力が低下。憂うつや倦怠感、情緒不安定など、うつ症状が増えてきます。

「更年期に起こるうつっぽい症状のすべてを"更年期の症状"と決めつけてしまうのは早計です。というのも、中には女性ホルモンの減少とは関係なく発症する"本当のうつ病"が隠れていることがあるからです」とは、飯田橋レディースクリニック院長の岡野浩哉先生。

実は、更年期によるうつ症状と本当のうつ病の見極めはとても難しく、実際は両方が重なって起こっていることも少なくありません。

本当のうつ病を更年期による気分の浮き沈みだと思って我慢していると、症状が悪化し、やがて日常生活にも支障をきたします。最悪な場合、「死にたい」と思い詰めるようになり自殺の危険性も考えられます。

このような本当のうつ病の場合は、精神科や心療内科などでの治療が不可欠です。更年期のうつ症状は、ホルモン補充療法や漢方療法などによって改善が期待できますが、本当のうつ病の場合は、専門機関で適切な治療を受けましょう。
下記に、更年期によくあるうつ症状を挙げてみました。

 

●更年期による代表的なうつ症状
□疲れやすくなった
□やる気が出なくなった
□集中力がなくなった
□イライラしやすくなったり、怒りやすくなった
□涙もろくなった
□漠然とした不安を感じるようになった
□ささいなことが気になりくよくよする
□落ち込みやすくなった
□食欲がなくなってきた
※飯田橋レディースクリニック院長 岡野浩哉先生作成のリストを改編

上記の項目が複数当てはまる場合は、"更年期によるうつ"の可能性があります。婦人科や更年期外来を受診しましょう。また、どの病院のどの科を受診したらよいか迷うときは、まずは更年期障害に詳しい婦人科を受診して、ホルモン補充療法などの更年期障害の治療を行ってみるのもよいでしょう。

ホルモン補充療法は、ホットフラッシュやめまい、冷えなどの自律神経系の不調にも効果があります。それで症状が改善できれば、更年期障害による症状だと判断できるでしょう。しかし、治療を行っても思うように改善しない場合は、精神科や心療内科を受診するのがおすすめです。

 

関連記事「朝まで続く動悸に止まらない汗...更年期のホットフラッシュ、私の対策法」
次の記事「更年期は自分を見つめ治す時期です/更年期障害(17)」はこちら。

取材・文/笑(寶田真由美)

<教えてくれた人>
岡野 浩哉(おかの・ひろや)先生

飯田橋レディースクリニック院長。群馬大学医学部卒業後、同医学部附属病院産婦人科、 東京女子医科大学産婦人科などで臨床経験を経て、平成20年に飯田橋レディースクリニック設立。 「患者にやさしい医療」をモットーに、新聞・雑誌等メディアへ執筆多数。

この記事に関連する「健康」のキーワード

PAGE TOP