年末が近づいてくると気ぜわしく、片付けに大掃除にとバタバタしてしまいます。そうならないために、片づけは少し早めに、今から始めるのがポイント。片付けや収納に30年以上携わり、多くのお宅の"困った"解決してきた住まい方アドバイザーの近藤典子さんに、「当たり前」を見直す片付けを教えてもらいます。
気力・体力があるうちにやらないと、片付けに「お金がかかる」ことに
捨てなくちゃいけない、それは重々分かっているけれどその前に「片付け」というハードルがあって、なかなか実行に移せないのが現実。
万が一、自分が病気や不幸な事態に見舞われたと仮定します。いまある荷物をどうしますか? 処分するには労力、業者など他の手を借りるにはお金が必要になってきます。子どもに託すにしても、もちろん、同じことに。気力・体力のあるうちに自分でできるかを、まず早めに決めておくべきと、近藤さんは声を大にします。
お金をかけないで片付けるには、体力のある元気なうちに始めるのが一番です。
まずは家の中で長くいるところ(部屋)を必要なものだけに
例えば1日の長時間を過ごす部屋がリビングやダイニングの場合、そこで「必ず使うもの」、「いつも使うもの」は残しておきます。家中のあちこちに取りに行かなくてもちょっと手を伸ばせば必要なものに届く(飛行機のコックピットのような)状態に暮らしを小さくしていきます。
近藤さんはこれを"暮らしの減築"と言い、実際にはいま住んでいる家を改築するのではなく、暮らすスペースを自分サイズに小さくすることだそうです。片づけるのは結局、自分。気軽にチャレンジできるこの片付けをまずスタートさせてみましょう。
今後必要としないものを一部屋に集めてみる。
欲しい人があれば「どうぞご自由にお持ち帰りを」
片付けを始める前に、まず最初にすることは、「いつか」「もしかしたら」「多分」使うかもしれない、と長い間死蔵していたものたちを集合させることです。
必要最小限のものを選んだら、いま使わないものが見つかります。どうしても処分できないと思ったらとりあえず一部屋に集合させましょう。
例えば、納戸状態になっていた子どもの部屋を活用。今後の生活にいますぐ必要でないものは全てここへ、大まかにジャンル別に分けて入れておき、子どもたちや友人に欲しいものがあれば持っていってもらいます。
ものを流動させているうちに捨てる気持ちが徐々に湧いてくるもの、と近藤さん。「触らない」「触らせない」という現状が捨てられない原因です。
一部屋に集めたら、バッグ・靴、洋服、寝具・タオル・キッチン用品、雑貨・本など、まずはジャンル別に大まかに分けましょう。
1カ所に集めてみるといかに使わないものが多く、また同じようなものの無駄買いをしていたかなどが分かります。これを「暮らしのぜい肉」と近藤さんは言います。
片付けは防災対策やつまずき防止にもなります
押し入れや引き出しに入りきらないものが廊下や階段などにあふれ足の踏み場もない。そんな状態になっていたら、即片付けをしましょう。散らかったものにつまずいて転んで骨折したり、地震や緊急事態の場合逃げ遅れたりすることもあるからです。
ちょっとした段差や床に置きっ放しの新聞も油断できません。「床面積はいつも広く!」を心がけることが大切です。
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取材・文/池田育子 イラスト/末続あけみ