離れて暮らす親の家が、知らない間に物であふれていませんか?
東京消防庁の統計によると、65歳以上で救急搬送される事故のうち約8割が転倒によるもの。さらにその転倒事故は「住居など居住場所」で最も多く発生しています(下記グラフ参照)。また「平成28(2016)年国民生活基礎調査」によると骨折・転倒は要介護4、5での介護が必要になった主な原因の第3位(※)です。
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※その他の原因は、要介護4は第1位「認知症」、第2位「脳血管疾患(脳卒中)」、要介護5は第1位「脳血管疾患(脳卒中)」、第2位「認知症」です。
安全のためにも、要介護にならないためにも、実家の片付けは大切なことなのです。そこで実家の片付け講師として活躍する渡部亜矢さんにお話を伺いました。
「ご両親世代は物がなかった時代を過ごしました。物のあることが豊かさの象徴だったので、物を捨てることに罪悪感を抱き、物があふれがちになります。まず、ご両親との価値観の違いを認識することから始めましょう」
価値観に加え、年齢とともに気力や体力、記憶力などが低下してきちんと物をしまえなくなり、結果、床に直接置くようになり、物があふれていきます。いざ、片付けようと行動に移す前に改めたいのが、実家を自分の家のように片付ければいいという考え方です。
「実家の片付けと自分の家の片付けはゴールが違うので、同じやり方で行ってはいけません。というのも、自分の家の片付けはきれいにすることが目標ですが、実家を片付ける目標は"ご両親が安心・安全・健康に暮らせる家"だからです」
つまずかない、物が探しやすいなど、親にとって暮らしやすい家を目標に、親と一緒に片付けることが大切なのです。
次の記事「「年なんだからもう使わないでしょ」はNG! 「実家の片付け」をするときの心構えとは?」はこちら。
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<教えてくれた人>
渡部亜矢(わたなべ・あや)さん
神奈川県生まれ。実家片づけ整理協会代表理事。高齢化に即した「実家片づけアドバイザーR」育成講座などを行う。『カツオが磯野家を片づける日~後悔しない「親の家」片づけ入門』(SBクリエイティブ)など著書多数。
取材・文/中沢文子