道路交通法改正を弁護士が解説。「電動キックボード」がらみの事故に遭わない・起こさないためのポイント

道路交通法の改正で、接触事故などの危険性が心配されている「電動キックボード」。事故に遭わない、起こさないためにも改正道路交通法の内容と注意すべき点、走って良い場所の理解が必要です。今回は弁護士の林さんにお話を伺いました。

この記事は月刊誌『毎日が発見』2023年10月号に掲載の情報です。

原付の一部として「特定原付」が新設

7月に道路交通法が改正され、一定の条件を満たした電動キックボードだと、16歳以上なら免許証なしでも公道で運転できるようになりました。

ニュースで見たり、あるいは実際に公道を走行している様子を見たりして知っている方もいるのではないでしょうか。

車道はもちろん、時速6km未満などの条件を満たせば歩道も走れるため、歩行者にも事故のリスクがあります。

道路交通法に詳しい林友宏先生は「今回、免許証なしで運転できるようになったのは、電動キックボードだけに限りません。これまでの原動機付自転車(原付)の一部が細分化され、特定小型原動機付自転車(特定原付)として、新たな交通ルールが適用されることになったのです」と、話します。

特定原付とは、下で紹介しているような乗り物のことを指します。

条件を満たす乗り物は全て特定原付の扱いになるため、電動キックボード以外にも、現在市販されている乗り物の中では電気モーターで動く自転車である電動サイクルも、一部該当します。

特定原付は手軽なので、今後は街中や観光地でよく見かけることになりそうです。

林先生は「ヘルメット着用は努力義務ということになっていますが、運転するときは必ず着用するようにしましょう。万が一の場合にけがの程度がかなり変わります。また、自賠責保険への加入も義務付けられていますが、注意したいのが保険の更新忘れです。更新を忘れてしまうと、もし交通事故を起こして歩行者にけがを負わせてしまっても、保険金が支払われません」と、注意を促しています。

特定原付とは

・電気モーターで動く(出力は600W以下)
・最高時速20km以下
・車体は長さ1.9m以下で、幅は0.6m以下

例えば

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電動キックボード

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電動サイクル

以下の条件を満たせば、16歳以上なら
免許証がなくても公道を走行することが可能
・ヘッドライトやクラクション、緑色の最高速度表示灯を設置するなどの保安基準を満たしていること
・市区町村へ軽自動車税の申告を行い、ナンバープレートを取り付けていること
・自賠責保険に加入していること

 

<教えてくれた人>

弁護士
林 友宏(はやし・ともひろ)さん

1981年生まれ、広島県出身。弁護士法人梅ヶ枝中央法律事務所東京事務所所属。企業法務をはじめ、個人から依頼を受けて相続、交通事故、離婚、刑事事件など幅広い案件を担当している。

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