医師がいなくても血管音をキャッチ! 家庭用血圧計/すごい技術

pixta_39064750_S.jpg私たちは毎日身のまわりの「便利なモノ」のおかげで快適に暮らしています。でもそれらがどういう仕組みなのか、よく知らないままにお付き合いしていませんか?

身近なモノに秘められた"感動もの"の技術を、書籍『身のまわりのすごい技術大百科』がわかりやすく解説します!

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●家庭用血圧計

血圧が気になる人にはありがたい家庭用血圧計。病院で使われるものに比べてずいぶん小さいが、どのように測定しているのだろうか。

近年、家庭用血圧計が普及し、血圧を自分で測定するのが当たり前になった。おかげで、血圧チェックが毎日できるようになり、血圧が高い人の健康管理にも大いに役立っている。現在、この血圧計は指でも測れるように小型化されている。

では、伝統的な血圧計のしくみを見てみよう。上腕部に巻きつけたカフ[腕帯(わんたい)]に空気を送り込んで締め付け、接続した水銀柱(すいぎんちゅう)の圧力計で血圧を読み取る方式である。

このとき医師は、聴診器(ちょうしんき)で血管音(発見者の名にちなみ、コロトコフ音という)を聞き取る。締め付けたカフの空気をゆっくり抜くと、血液が流れて血管音が聞こえ始めるが、このときの血圧が最高血圧。やがて聞こえなくなるときの血圧が最低血圧である。この方法をコロトコフ法という。

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この血管音の聞き取りを圧力センサーに任せた血圧計が家庭用のものだ。つまり、血液が流れるときの動脈壁の振動をセンサーでキャッチして測定する方法である。血管音を圧力センサーに加わる振動として検知するのだ。これをオシロメトリック法という。

家庭用血圧計ではカフを手首に巻きつける小型・軽量タイプも多い。オシロメトリック法を可能にしたのがピエゾ抵抗効果を利用した半導体圧力センサーだ。このセンサーをコンピューターと組み合わせることで、小さくても正しい血圧測定が可能になった。

ピエゾ抵抗効果とは「圧力を加えると電気抵抗が変化する」性質をいう。これを利用した圧力センサーは半導体を利用しているため小型化が可能だ。また、電子回路に直接組み込めるというメリットがある。ちなみに、ピエゾとは「押す・圧縮する」という意味のギリシャ語だ。

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血圧計は使い方を知らなければ正しい測定ができない。例えば、指や手首で血圧を測るとき、心臓の高さと同じ位置で測定しなければ正確な値(あたい)は得られない。誤って測っていると「自分は健康」と思っているのに高血圧だったり、またその逆だったりするのだ。

 

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涌井良幸(わくい・よしゆき)

1950年、東京都生まれ。東京教育大学(現・筑波大学)数学科を卒業後、千葉県立高等学校の教職に就く。教職退職後の現在は著作活動に専念している。貞美の実兄。


涌井貞美(わくいさだみ)

1952年、東京都生まれ。東京大学理学系研究科修士課程修了後、富士通に就職。その後、神奈川県立高等学校教員を経て、サイエンスライターとして独立。現在は書籍や雑誌の執筆を中心に活動している。良幸の実弟。


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『身のまわりのすごい技術大百科』

(涌井良幸・涌井貞美/KADOKAWA)

身近なモノに秘められた“感動もの”の技術、一挙解説! 身近な文具から、便利すぎるハイテク機器まで…あれもこれも、すべて「科学技術」の結晶なのです。日ごろよく使う「モノ」の“すごい技術”を図解でわかりやすく解説します。

この記事は書籍『身のまわりのすごい技術大百科』からの抜粋です

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