家電はつねにリモコンから送られる赤外線を待機している/身のまわりのモノの技術(35)【連載】

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テレビやエアコンなど、私たちが普段利用している家電の多くはリモコンで操作できる。おかげで寝ころびながら操作できて、たいへん便利である。ところでこのリモコン、どうやって家電に命令を送っているのだろうか。

通常、リモコンと家電本体のやり取りには赤外線が利用されている。リモコンは三つの基本部品から構成されている。赤外線を作る発光ダイオード、ボタン部分、そしてボタンの信号を赤外線の信号に変換するICである。

ボタンが押されると、ICはそれを信号に変換し、発光ダイオードに伝える。発光ダイオードは、伝えられた信号にしたがって赤外線を発光し、家電本体にコマンドを送るのである。赤外線を感知した家電本体はフォトダイオードで赤外線を電気に変換し、どのボタンからの信号かを解読する。こうして、押されたボタンの情報が家電本体に届けられ、要求した操作が実現される。

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赤外線で信号をやり取りするリモコンの発想は、赤外線通信という形に発展している。スマートフォンや携帯電話、そしてパソコンを結ぶために利用されているものだ。IrDA(InfraredData Association)と呼ばれる規格に準拠して作成されているのが一般的で、異種の携帯電話同士でアドレス等の情報を交換できるのも、この規格にしたがっているからである。

ところで、リモコンで操作される電気機器は、送られてくる赤外線を受信できるように常に待機していなければならない。そのため、家電本体には電気がいつも流れていることになる。これを待機電力と呼ぶ。待機電力は、少し前には、家庭で使う全消費電力量の1割以上になるといわれた。現在は改善が進んでいるが、節電が叫ばれる現在、外出時や寝る前など長く機器を使わないときには、本体の主電源を切る習慣をつけるべきである。

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蛇足ながら、リモコンの発している赤外線は見えないが、ビデオカメラやデジカメのモニターでは見られることに言及しておこう。

涌井 良幸(わくい よしゆき)
1950年、東京都生まれ。東京教育大学(現・筑波大学)数学科を卒業後、千葉県立高等学校の教職に就く。現在は高校の数学教諭を務める傍ら、コンピュータを活用した教育法や統計学の研究を行なっている。
涌井 貞美(わくい さだみ)

1952年、東京都生まれ。東京大学理学系研究科修士課程を修了後、 富士通に就職。その後、神奈川県立高等学校の教員を経て、サイエンスライターとして独立。現在は書籍や雑誌の執筆を中心に活動している。

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「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術」
(涌井良幸 涌井貞美/KADOKAWA)
家電からハイテク機器、乗り物、さらには家庭用品まで、私たちが日頃よく使っているモノの技術に関する素朴な疑問を、図解とともにわかりやすく解説している「雑学科学読本」です。

この記事は書籍「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術」(KADOKAWA)からの抜粋です。

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