階段を登ると息切れが。高血圧の症状でしょうか?/高谷典秀先生「なんでも健康相談」

階段を登ると息切れが。高血圧の症状でしょうか?/高谷典秀先生「なんでも健康相談」 pixta_27486725_S.jpg病院に行くべきかどうか...」悩むレベルの"困った症状"、いろいろありますよね。
今回寄せられたのは、妻から血圧が高いと言われて心配している、というお悩み。医療法人社団同友会理事長 高谷典秀先生がお答えします。 

 

 

妻から血圧が高いと言われ心配

67歳の男性です。最近、市販の血圧計を購入したので、時折自宅で血圧を測るようにしています。

仕事から戻り、夕食前に測るのですが、だいたい上が140、下が80くらいなので、なにも心配はしていませんでした。ところが妻は「高い」と言うのです。

妻に言われて、気をつけてみると、晩酌後に風呂へ入る際、頭痛があったり、風呂上りにはめまいを感じたりする事が時々あります。また、朝の通勤の際、頭痛がしたり、駅の階段を登る際には息切れをし、心臓もドキドキします。

これは高血圧の症状なのでしょうか。なにか治療を始めた方が良いのでしょうか。

 

血圧135~85を目安にして継続的に測定を

今回は高血圧について心配をされる方からのご相談です。

血圧というものは、一日の中でもよく変動をするもので、一回測定をした値だけで正しい判断をすることはできません。たとえば、心配事がある時とか、驚いたりするだけでも血圧はすぐに上がってしまうので、そういう要素も考えなければなりません。

また、白衣高血圧というのもよく耳にするかと思います。病院などで測ると、普段よりも血圧が高めになってしまうという事が多く、最近では高血圧の基準値も、病院での基準値の方が少し高く設定されています。

あなたの場合、ご自宅で夕食前に血圧を測ると、上の血圧(収縮期血圧)が140、下の血圧(拡張期血圧)が80という事ですが、成人の血圧の基準値というものは、上が130未満、かつ下が85未満ということになっていますので、それから比べると少し高いことになります。

血圧を下げる薬を飲む場合、基準値を下回るようにしていただきたいのですが、ご自宅で測定する血圧は、少し低めに出る事がありますので基準値よりも5ずつ引いた、上が125、下が80を目標値にする事が推奨されています。

一方で、年齢の高い方ですと、血圧を下げすぎると逆に体調が悪くなったり、場合によっては下がりすぎて脳梗塞の危険が出てきたりしますので、病院での血圧は140/90、そしてご自宅での血圧は135/85というような値が推奨されます。

あなたの場合、朝方に頭痛があるとか、息切れ、心臓がドキドキするといった症状があるということが気になります。

モーニングサージといって、朝、目覚める前後にふっと血圧が急上昇するタイプの方、あるいは夜中から朝方にかけて、ずっと血圧が高くなるというタイプの方がいらっしゃり、どちらも、脳梗塞や心筋梗塞といった心血管病の危険がやや高いと言われております。あなたのように、朝に症状が現れるという方の場合には、朝の血圧も非常に重要ですので、夕食前だけではなく、朝にも測定をするようにしてください。

また、長年、軽度であっても血圧が高い状態が続いていたのならば、心臓に負担がかかり、心肥大や不整脈が出てくるという事もありえます。一度は心電図をとり、高血圧に良く見られる心肥大などの所見があるようなら、心臓超音波の検査などで心肥大の程度や、心臓の機能を見ておくことが必要でしょう。

まずは朝方にも血圧を計るようにしていただき、2~3週間続けて血圧の動向をみた上で、循環器内科に相談に行くことが良いと思います。(老友新聞社)

 

※そのほかの「高谷典秀先生「なんでも健康相談」」はこちら。

 

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高谷 典秀 先生(たかや・のりひで)

医療法人社団同友会 理事長。順天堂大学循環器内科非常勤講師。日本人間ドック健診協会 理事。学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授。著書に『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』(株式会社法研)など。

この記事は『日本老友新聞』に掲載の情報です。

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