日本でも登録数が増加している「世界遺産」。京都府の文化財や広島県の厳島神社といったスポットが有名ですが、観光客の増加によって思わぬ問題を抱えることになった場所も多いようです。
せっかくの景観が台無しに
7月23日放送の「5時に夢中!」では、山梨県にある"涌池"の現状を報じた記事を紹介。池に投げ込まれた大量の硬貨が、水質や景観の悪化を招いていると警鐘を鳴らしました。
涌池は世界文化遺産・富士山の構成資産「忍野八海」の1つで、忍野村公式サイトによると「湧水量も豊富で、揺れ動く水面や深い水底の景観が美しく、忍野八海を代表する池」とあります。しかし2013年の世界文化遺産登録後の観光客増加にともない、池に硬貨を投げ込む人も増えてしまったそう。
記事の中では、涌池でボランティアダイバーが硬貨を回収する姿を写真つきで紹介。ボランティアダイバー代表の坂本新さんは、インタビューで「回収しても3カ月ほどで元に戻ってしまう」と伝えています。
涌池の現状について、番組ではコメンテーターの若林史江さんが「デパートのちょっとした池にも投げてあるじゃないですか。なんであんなに水の中に金を入れたがるのか不思議でしょうがない」とコメント。"池に硬貨を投げ入れる"行為はネット上でも反響を呼んでおり、「願掛けのつもりか分からないけど、せっかくの景観が台無し」「外国の硬貨も多いから池にお金を投げたくなるのって万国共通なのかな?」「確かに"トレビの泉"とか欧州ではよく見る光景だけど、自然環境の中ではダメだよね」といった声が見られました。
世界自然遺産・知床が抱える問題
世界遺産への登録で観光業が潤う一方、訪問客のマナー悪化も至る所で指摘されています。2017年12月に放送された「テレメンタリー」(テレビ朝日系)では、世界自然遺産の北海道・知床の問題を紹介。ヒグマの写真を撮るために、餌でおびきよせる人がいるとの証言がありました。
また知床ではゴミ投棄問題も深刻化しており、「知床財団」は公式サイトで「ゴミの投棄は餌付けと同じです」と注意喚起。ヒグマやキツネがゴミを漁るために道路に近づいてしまい、「車に轢かれたり、ぶつかったりして死亡する危険性が高くなります」と警告しています。
知床に限らず、ほかにも落書きや無断立ち入りといった被害が顕著化。いま一度、自分の観光マナーを確かめる良い機会かもしれませんね。
文/藤江由美