行楽地の記念撮影で、他の観光客がたまたま写り込みました。削除が必要ですか?/法律・税金で悩んだらプロに相談

pixta_32861901_S.jpg観光地でおこった写真撮影のトラブルで、楽しいはずの1日が台無しになってしまいました。どのように応対したらよかったのでしょうか? 弁護士の林 友宏先生にお話を聞いてみました。


【相談】
先日、観光で鎌倉に行って、お寺のお庭を撮影したのですが、たまたまお庭の近くにいた観光客から、その方が写り込んだ写真を削除するよう言われました。しぶしぶ応じましたが、納得できません。削除に応じなければならなかったのでしょうか。(女性71歳)

 

林先生の【お答え】
写った顔の大きさや使用目的など、ケースごとに判断は異なります。


写真の削除を求めてきた方は、自分が写った写真がどこでどのように使用されるのか不安になって、あなたに削除を求めてきたのではないでしょうか。削除の要求に応じたことで、大きな問題にはならなかったようですが、そもそも、要求に応じる必要があったのでしょうか。

まず、過去の裁判において、自分の顔や姿を無断で他人に撮影・描写等をされない権利が認められています。この権利を肖像権といいます。

撮影した写真にたまたま写り込んでしまった人について、肖像権の侵害が問題となるのであれば、今回のような観光地での写真撮影のほとんどが肖像権の侵害行為につながることになってしまい、あまりにバランスを欠くことになります。

そこで、肖像権の侵害に該当するかどうかの判断基準と考えられているのが、「社会生活上受忍限度を超えるか否か」という観点です。つまり、一般人が、その行為を我慢できるか否かという観点から、肖像権の侵害の有無が判断されています。

より具体的に見ていくと、撮影の対象となった人(被撮影者)が明確に特定できるか、撮影した写真全体における被撮影者が占める割合がどの程度か、どのような目的で撮影をしたのかといった個別具体的な事情を考慮して肖像権の侵害になるか否かを判断していくことになります。

例えば、はっきりとした被撮影者の顔が写真の大部分を占めており、この写真をブログなどインターネット上で不特定多数が見ることのできる状態にするという行為は、被撮影者の肖像権を侵害する可能性が高いものといえます。

反対に、写真の隅に誰か分からない状態で小さく写っており、この写真を個人の私的な観賞用に保管するという行為は、被撮影者の肖像権を侵害するとまではいえないものと考えられます。

このように、観光地における写真撮影が被撮影者の肖像権を侵害するか否かは、ケースバイケースで判断していくことになります。あなたの撮った写真にお庭が大きく写っており、写真の削除を要求してきた方が背景に小さく写り込んでいる程度で、誰か分からないのであれば、その方の肖像権が侵害されているとまではいえず、必ずしも削除の要求に応じる必要はなかったのかもしれません。

多くの人がカメラ機能付きのスマートフォンや携帯電話を持つようになった今日では、誰でもどこでも写真撮影ができる環境にあります。このことは、便利に思える一方で、誰かの権利を侵害してしまう行為につながる可能性もあります。第三者が写ってしまった写真を公開する場合においては、誰なのか特定できないように編集するといった配慮がマナーといえるのではないでしょうか。

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林 友宏(はやし・ともひろ)先生
弁護士法人梅ヶ枝中央法律事務所東京事務所所属。企業法務をはじめ、個人から依頼を受けて相続、交通事故、離婚、刑事事件など幅広い案件を担当している。

この記事は『毎日が発見』2018年3月号に掲載の情報です。

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