仕事や人間関係がうまくいかない...「もしかして自分は大人の発達障害なのでは?」と悩む人が増えています。しかし、その解決策を具体的に示した本は少ないのが現状です。
本書『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』は発達障害の当事者が、試行錯誤と度重なる失敗の末に身につけた「本当に役立つ」ライフハック集。うつでもコミュ障でも、必ず社会で生き延びていける術を教えます!
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前の記事「何もかも詰め込んで! 発達障害者の「神カバン」はコレだ/発達障害の仕事術(10)」はこちら。
◆「バインダーもりもり作戦」 で書類の神隠しを防ぐ
かばんの中の「神隠し」対策
書類もかばんと原則は同じで、「集約化(ぶっこみ)」が重要です。これは、後述する僕の大学時代のハック「全てのノートを1冊でとる」と全く同じ原理です。紛失したりするよりは、とにかく「存在している」ことが大事なのです。
ただ、書類は薄くて「大切なときになくなる」という生き物ですので、かばんやノートよりもさらに工夫が必要です。あいつらは基本的に油断したら逃げ出すタイプのやつだと認識してください。
僕はもともと、案件をクリアファイルに分けてとにかく突っ込むという方針を採用していたのですが、この方法は一覧性が低く、かばんの中でよく「神隠し」が発生します。客先で必死に探しても見つからなかった書類が、家に帰ったらポロッと出てくる。そういう苦労はもう懲り懲りです。
クリアファイルが使えない発達障害者にとって、とてつもなく便利なのが「バインダー」です。僕は、現在進行している仕事の流れごとに書類をそれぞれひとつずつのバインダーにセットして、持ち歩いています。さすがの僕でも、バインダーの4つや5つであれば、管理可能です。
そして、これは「バインダーを全部取り出せば、今自分が抱えている仕事の書類の流れが一望できる」ということにもなります。現代人はとても忙しいので、大体3つや4つの仕事を並行してやっていると思いますし、僕も営業マンとして1日に3~4件客先を回ることはザラにあるのですが、その程度の数のバインダーはそのままかばんに入ります。もちろん、先述の「大きなかばん」であればですが。
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これは本当に便利です。僕はまさに「仕事を自宅に持ち帰った結果、書類を紛失する名人」だったのですが、このハックを採用してからは驚くほど頻度が減りました。裸の書類は確実に紛失しますし、クリアファイルもよくなくす僕でもさすがにバインダーは紛失しないようです。このハックのさらに便利なところは、お客様からサインを貰ったりハンコを貰ったりするのに、バインダーがあればそのままやれるということです。
客先で書類を裸で出してハンコを貰おうとする営業マン、結構いますよね。僕は車のボンネットの上で契約印を押してもらったことがあります。僕は全く気にしませんが、世の中の人はこういう気遣いの不足を結構気にするようです。風が吹く野外で書類を確認してもらったり、あるいは参照しながら作業をしなければならなかったりする仕事もありますよね。これもバインダーひとつで完全に楽になります。というか、ないと本当に大変です。
オマケに、大きめの事務用クリップをひとつバインダーに挟んでおくとベターです。風が吹いても書類をホールドできます。お客様の前で書類がバタバタするの、格好悪いですよね。
このバインダーハックの利点はそれに留まりません。そのまま机上に積んでも、書類の管理が大変やりやすくなります。僕は、これで書類の紛失が劇的に減りました。デメリットは「大きい」ということだけですが、我慢できる範囲だと思います。少なくとも、机上にさまざまな書類を十字に重ねていくあのやり方では、僕は間違いなく全てが混ざり合い、不思議な現象が起きて一部が消滅します。