仕事や人間関係がうまくいかない...「もしかして自分は大人の発達障害なのでは?」と悩む人が増えています。しかし、その解決策を具体的に示した本は少ないのが現状です。
本書『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』は発達障害の当事者が、試行錯誤と度重なる失敗の末に身につけた「本当に役立つ」ライフハック集。うつでもコミュ障でも、必ず社会で生き延びていける術を教えます!
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発達障害にとっての「神かばん」はランドセル
この発想の根源になったのは、ADHDの皆さんの間で「これはADHDにとってのランドセルだ」と話題になっていた「ひらくPCバッグ」という商品です。
「ペン立てみたいなバッグ」というテーマで開発された商品で、フタを開ければ中にある物が一望でき、ほぼ全てに一手でアクセスできるという、ADHDには大変ありがたいバッグです。僕の理想のかばんの条件のうち、2~4を満たしています。5も、開口部はひとつにまとまっているものの、仕分け性能は非常に高いので満たしていると考えていいかもしれません。
僕は客先でハンコやサインをいただく仕事が多いので、バインダーや書類があまり入らないかばんは採用できませんでしたが、かばんの容量がそれほど必要なく、ややカジュアルなワークスタイルが許される方には大変おすすめです。とにかく、取り出しと収納が圧倒的に楽になると思います。また、カフェなどで仕事をする方には非常に便利でしょう。なにせ、かばんを机に置けばそのまま作業ができるのですから。僕が使っているのは、エースというメーカーの「ACE GENE EVL -2・5」というかばんです。「一覧性」という点では「ひらくPCバッグ」にやや遅れをとるところはありますが、全ての開口部を全開にすればそれなりに内部は見通せる形の、冒頭の要件を満たす商品です。
お値段は少々張りますが、大変使いやすいです。他のメーカーをもっと探せば、もしかしたらもっと安価な物が見つかるかもしれません。
ガチガチのビジネスユースを目的にした商品ですので、オフィスコードもまず問題ないでしょう。スマートさには欠けるかもしれませんが、そういうものは求めるべくもない人生であることを僕は自覚しています。
重たいかばんは安心の証。ここには全てが詰まっていて、僕にも中身が見通せる。それは、人生にかけがえのない便利さを与えてくれました。僕のハックの中でも非常に効果が高かったのがこの「かばん」ハックです。
混乱したかばんの中身は、混乱した頭の中身です。逆に言えば、かばんが整えば頭が整う。世界が少しだけ、それでもとても効果的に変化すると思います。ぜひ、試してみてください。
【まとめ】
・かばんの重さは安心の証。全てをぶっこめ!
・スマートさは諦めろ!実用本位!
・ADHD傾向の強い人のためのかばん、絶対に需要はあると思います。メーカーさん、ぜひ作ってください
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1985年生まれ。診断はADHD(注意欠陥多動性障害)の発達障害者。幼少期から社会適応が全くできず、登校拒否落第寸前などを繰り返しつつギリギリ高校までは卒業。
色々ありながらも早稲田大学を卒業した後、何かの間違いでとてもきちんとした金融機関に就職。全く仕事ができず逃走の後、一発逆転を狙って起業。一時は調子に乗るも昇った角度で落ちる大失敗。その後は1年かけて「うつの底」から這い出し、現在は営業マンとして働く。
(借金玉/KADOKAWA)
社会生活がうまくいかず苦しむ「大人の発達障害者」が増えていると言われる現代日本。発達障害によって30歳を前に人生をほぼ破たんさせかけた著者が、試行錯誤で編み出した「発達障害者のため」の今日から使えるライフハックを多数紹介! 仕事や人間関係がうまくいかない全ての人のための「日本一意識が低い」自己啓発書です。