静岡県熱海市在住の人気ガーデナー・水谷昭美さん。定期誌『毎日が発見』の連載「暮らしの晴れ間」から、季節を感じ、日々の暮らしをゆったりと楽しむ水谷さんの暮らしをご紹介します。今回は、「薫風のころ、花木に会いたくなります」をお届けします。
菖蒲(あやめ)は花びらに細かい網目の模様があることから文目、綾目の漢字をあてることも。花色は「菖蒲色」といって日本の伝統色だそうです。
風情あふれる花木には昔から知っている友達のような懐かしさがあります。
暦の上では、5月初旬には立夏。
若葉がいきいきと茂り、「夏は来ぬ」の歌を口ずさみたくなる...。
さわやかな風にのってアメリカ藤の甘い香りも届きます。
花期は短く、すぐに姿を消してしまうから、年に一度の出合いがよりうれしいのです。
レモンの花
ひそやかな佇まいが魅力のこの花は、柑橘ならではの甘い香り。お茶の時間にわらび餅とともに。
大山蓮華(おおやまれんげ)
白い花びらと真紅のしべ。なんともいえない艶っぽさに魅せられ、毎年、つぼみがほどけるのをいまかいまかと待っています。
紫千代萩(むらさきせんだいはぎ)・二人静(ふたりしずか)
二人静は白い小花。2本の花穂を源義経の愛妾・静御前とその霊の舞姿に例え、名付けられたとか。
アメリカ藤と金鎖の鉢植えを、家の外壁際に置きました。どちらも日本生まれの花ではないけれど、紫と黄の花色を隣り合わせると、どこか和の趣。花房を揺らす姿もたっぷりとして優雅です。
【5月の定番漬物】わらびとたけのこのぬか漬け
山菜の季節も終盤。天ぷらやおひたしでいただいた後は、こうして漬物にしてひと味違う風味を楽しみます。わらびはあく抜きをしてから、たけのこはゆでてからぬか床に入れて一晩寝かせ、食べやすい大きさに切って食卓へ。後ろにあるのは山椒の葉で香りをプラスした厚揚げの煮物。
取材・文/飯田充代 撮影/斎藤大地