「植物が勢いを増す陽春」。野の花と遊ぶ日/暮らしの晴れ間

静岡県熱海市在住の人気ガーデナー・水谷昭美さん。定期誌『毎日が発見』の連載「暮らしの晴れ間」から、季節を感じ、日々の暮らしをゆったりと楽しむ水谷さんの暮らしをご紹介します。今回は、「野の花と遊ぶ日」をお届けします。

帽子を花かごに

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烏野豌豆などの雑草は、土から離すとじきにしおれてしまいます。この姿を楽しめるのはひとときだけの贅沢です。

植物が勢いを増す陽春。

地際にあふれる小さな命を集めてみました。

それは、アスファルトの隙間でも生きるたくましい雑草と、楚々とした花を咲かせる山野草。

私にはどちらも愛しい存在だから、隣同士で並べます。

そもそも"雑草"と呼ばれてしまうなんて、かわいそう。

ひとつひとつにすてきな名前があってみんな違う生き方をしているのですから。

足元に咲く花を摘んで...

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小花を下に、傘のように葉を広げる背の高い宝鐸草を上に。小さな世界に緑陰が生まれて、野山の景色のミニチュアのようになりました。象さんの鼻みたいな持ち手が付いた器は、普段は砂糖入れにしている焼き物。その土っぽい素朴な手触りが、植物たちとよく似合います。

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小さい箒は庭掃除の必需品。普段は壁に飾っています。

【5月の定番ランチ】ことこと煮込んだトマトソースのスパゲティ

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ソースの材料は真っ赤に熟れたかごいっぱいのトマト。煮込んで、その旨味をぎゅっと閉じ込めます。

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トマトは友人からの贈り物。細長くてちょっと酸味の強いイタリア種です。まず洗ってへたを取り、鍋にあふれんばかりに入れて中火にかけます。あせらずじっくりと煮ながら水分を飛ばし、かさが減ってきたら、フレッシュな酸味を出すためにざく切りにしたトマトを2~3個分プラス。

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適量の塩と青とうがらし、モッツァレラチーズだけで味付けをして、さらに煮込めばできあがりです。ゆでたての麺にかけていただきます。

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取材・文/飯田充代 撮影/斎藤大地

 

水谷昭美(みずたに・あきみ)さん

1951年、愛知県生まれ、静岡県熱海市在住。幼い頃からお小遣いを全て花代に使ったという生粋のガーデナー。著書に『小さな庭に四季をつくる』(主婦と生活社)ほかがある。

この記事は『毎日が発見』2022年5月号に掲載の情報です。

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