1粒に、みかんやりんごよりもたくさんのミネラルを含む梅の実。その酸味には、疲労回復や食欲増進、殺菌、除菌作用も。冷凍梅や梅干しで作る保存食で、元気を保ちましょう。今回は、管理栄養士で料理研究家の村上祥子(むらかみ・さちこ)さんに、「冷凍梅と梅干しで作る保存食」を教えてもらいました。
青梅は、洗って竹串などでへたを除き、ペーパータオルで水分を取ってポリ袋に入れて冷凍します。冷凍しておけば、梅が販売されていない季節でも使えます。さらに冷凍することで繊維が壊れ、酢や砂糖に漬かりやすくなります。
豊富なミネラル
梅の実は小さい1粒にみかんやりんごよりも、たくさんのミネラルを含みます。またビタミンCやカロテンといったビタミンも多く含んでいます。
有機酸が代謝を促進
梅の酸味であるクエン酸やリンゴ酸といった有機酸は、糖質の代謝を促して栄養素をスムーズにエネルギーに変換。疲労回復が早まり疲れにくい体を作ります。
カルシウムの吸収を促す
有機酸は吸収率の低いカルシウムや鉄の吸収を促す働きが期待できます。カルシウムは年齢とともに吸収率が低下するといわれています。
消化吸収の力をアップ
クエン酸が唾液の分泌を促して食欲増進に働きます。さらに消化酵素の分泌も促進。消化吸収の力を高めてくれます。
食中毒の予防
クエン酸は殺菌、除菌力にも優れ、昔からおにぎりといえば梅干し。梅干しが微生物の繁殖を抑えるために生まれた組み合わせで、食中毒予防が期待できます。
梅干しを酢で漬ける
「梅干しサワー」
酢のアミノ酸が梅の代謝促進の働きや抗酸化作用を高め、さまざまな有効成分の吸収もとても良くなります。
大さじ1あたり22kcal/塩分0.2g
材料(できあがり300ml)
塩だけで漬けた梅干し...100g
氷砂糖...100g
りんご酢...200ml
作り方
(1)瓶に氷砂糖を入れて梅干しを加え、りんご酢を注ぐ。
(2)ふたはしないで電子レンジ600Wで30秒加熱する。ふたをして常温に12時間おいたら完成。
【注意点】梅を調理、保存する際は、容器はガラスやほうろうなどの酸に強い材質のものを使います。アルミ製はさびることがあるので注意です。
●常温で1年保存できる。猛暑日が続くときは冷蔵がおすすめ。
●氷砂糖は上白糖、きび砂糖や黒糖に代えてもよいが、溶けにくいので、ときどき乾いた箸でかき回して溶かす。
●酢は、穀物酢、米酢、玄米酢、黒酢などでもよい。
●摂取量の目安は、1日に大さじ1~2。
※保存容器は清潔で完全に乾いたものを利用する。
炭酸や水で割ってもよいが、牛乳で割るのもカルシウム豊富で吸収も良くなるのでおすすめ。
1人分93kcal/塩分0.2g
氷を入れたグラスに梅干しサワーを大さじ1入れ、牛乳100mlを注ぐ。
梅干しサワーQ&A
Q1:電子レンジを使わずに作ることはできますか?
A1:電子レンジを使わない場合は、常温に1カ月ほど置いてください。そして、たまに瓶ごとゆすって、氷砂糖を溶かしていきます。
Q2:梅干しサワーやフレークは、どんな梅干しでも作れますか?
A2:調味液に漬けた「梅干しもどき」のはちみつ梅やかつお梅などではなく、昔ながらの塩だけで漬けた梅干しを使ってください。保存期間などに違いが出ます。
Q3:漬け酢を使い、梅だけが残りました。酢と氷砂糖を足して再利用できますか?
A3:再利用できますが、梅の成分は半分に減っています。またすでに梅に酢と氷砂糖が浸透しているため、再利用の際は酢と氷砂糖の分量を半量にします。また、再利用は1回が限度です。
Q4:漬けた梅はどのタイミングで取り出しますか。また、おいしい食べ方はありますか?
A4:1カ月たったら、梅を引き上げてもよいでしょう。種を除いた梅の実を刻んで砂糖を加え、ジャムにするとおいしいです。