自己負担額が1~3割で済むなど、介護の基盤を支えている公的介護保険制度。他にも、多くの自治体で独自のサービスを行っていることをご存知ですか? 社会保険労務士でファイナンシャル・プランナーの井戸美枝さんにやらなきゃ損&知って安心な「介護費」の仕組みを教えていただきました。
国や自治体が行っている介護費用を抑える制度とは
自己負担額が1~3割で済む公的介護保険制度は介護の基盤を支えています。
「公的介護保険制度のほかに、多くの自治体で独自のサービスを行っています。独自のサービスは、最寄りの地域包括支援センターにあるパンフレットや自治体のホームページで探せます」と井戸さんは話します。
また、通院時などは介護保険を活用して介護タクシーを利用すれば、自己負担額を1~3割に抑えられます。
車いすなどの福祉用具は、購入するよりも介護保険で借りた方が費用を抑えられます。
【やらなきゃ損】
・自治体独自のサービスを利用する
・介護タクシーや福祉用具を活用する
介護保険以外の自治体の独自サービスの例(横浜市の場合)
食事サービスを上手に利用
要介護2以上の1人暮らしの人などに食事が届けられます。1食700円以内で、1日1食、週5回まで利用できます。
通院に便利な外出支援サービス
65歳以上の要支援、要介護の人が、専用車両で自宅と医療機関などの間を有料で送迎してもらえます。
緊急時の連絡にあんしん電話
1人暮らしの高齢者の固定電話機に通報装置を取り付けて、近所の人や救急とすぐに連絡がとれるようにします。
自宅で髪を切れる訪問理美容サービス
要介護4、5の人の自宅で、理美容師が髪の毛のカットをします。自己負担額は2,000円で年6回まで利用できます。
出典:横浜市のホームページを基に作成。
「介護保険を使って1カ月の介護費が上限を超えたとき、超えた分のお金が戻るのが『高額介護サービス費』です。自治体から対象者にお知らせが届き、それに従って申請します。次回からは自動的にお金が戻ります」(井戸さん)
子ども世帯と同居していても生計が別の人は、役所で世帯を分ける世帯分離をして世帯の収入を下げれば、高額介護サービス費の上限額を減らせる場合もあります。
【知って安心】
・介護費にもひと月の上限額がある
・「世帯分離」で安くできる場合がある
【高額介護サービス費の現状】
【2021年4月の改正後】 高所得者は負担増に!
※年収約383万円未満で同一世帯に住民税を課税されている人がいる場合。
出典:厚生労働省のホームページを基に作成。
【まとめ読み】特集「やらなきゃ損&知って安心節約術」記事リスト
取材・文/松澤ゆかり イラスト/木波本陽子