人と一緒にいるのが疲れる、人付き合いが苦手など対人関係に悩みを抱えていませんか。自身も極度の人見知りという午堂登紀雄さんは「外交的な付き合い方が苦手でも生きていける」といいます。そんな午堂さんの著書『「人見知り」として生きていくとと決めたら読む本』(すばる舎)から、口下手や人見知りでも無理せずコミュニケーションができ、孤独すらも楽しむコツを連載形式でお届けします。
改めて「人見知り」の強みを考える
自然の摂理に従えば、環境に適応できない種は滅んでいくといわれます。
もし人間社会の中で、外向的で人見知りしない人が望ましい資質であるのなら、なぜ内向的な人や、かつ人見知りである人が存在するのか、という疑問が湧いてきます。
古今東西において内向的な人が存在するのは、それが人間社会や種の保存に必要だからであり、それには必ず意味があるということではないでしょうか。
たとえば人見知りというのは、初めての人、見知らぬ人に対する警戒心の強さの表れだと言い換えることができます。
それはつまり、未知の危険に対する感受性が強いということですから、必ずしもマイナスではないといえます。
反対に、誰とでもすぐに打ち解けられる人は、人間関係の構築という群れを作る能力に長けている一方、打算的な人など自分や自分の集団にとってリスクの高い人間を安易に引き込む確率も上がるでしょう。
危険を察知するアンテナ強度が強いのは、生き延びるために重要な要素です。
こうした能力を上手に活かせば、仕事や人間関係、プライベートの各場面で有利になります。
将来のリスクを予測することで、諸処のトラブルを回避して、より良い未来を手にする可能性が高まるからです。
また、警戒心が強いおかげで、置かれた状況にまるごと取り込まれるのではなく、そこから距離を置き、状況を批判的に眺めることができる能力を備えているともいえます。
たとえば、パーティーなどで誰かれかまわず名刺交換したり、談笑したりしないことで、客観的かつ俯瞰的に状況を捉え、場の雰囲気に流されない冷静さを保てるという側面もあります。
とりわけ内向的な傾向が強い人は洞察力が鋭いため、些細な変化も見逃さず、気づきを得やすいですし、自分なりの問いをもち、解を求めるのが得意です。
普段から知的好奇心と問題解決能力が相乗効果でよく働くからです。
このように控えめな外観とは裏腹に、状況に安易に流されず自分独自のやり方で物事を成し遂げる能力を秘めているといえるでしょう。
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気後れしない対人関係の築き方や孤独を楽しむ方法など42のメソッドが全7章で解説されています