「ポジティブな孤独」は受け入れて。心療内科医の「ムダも失敗もある生き方」のススメ

40~50代になって「老後の孤独」が頭をよぎるなら、「心の自立」が足りていないからかもしれません。そこで、「孤独との向き合い方が大切です」という心療内科医の反田克彦さんの著書『孤独を軽やかに生きるノート』(すばる舎)から、「無自覚の寂しさ」への対処法をご紹介します。

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人生の取り分は一定ではない

一番効率のいい生き方とは、生まれてから死ぬまでに使用するエネルギーがもっとも少ない生き方でしょうか?

次のAさんとBさんの生き方を比べてみましょう。

●Aさんの生き方

最小限の労力で、有名な学校を出て、誰もがうらやむ一流企業に就職し、不必要なものは一切買わず、体に悪い習慣は一切行わず、得にならない人間関係はすべて拒絶します。

最低限の必要な設備の揃ったミニマルでスタイリッシュな空間に暮らしています。

●Bさんの生き方

小さい頃からムダなことばかりしています。

学生時代はじっと椅子に座っているほうではありませんでした。

高校を何とか卒業して、アルバイトの延長で就職します。

たまたま出会った人の影響で海外に渡ります。

数年後に日本に戻り、実家の一部を利用してゲストハウスにします。

海外で仲良くなった友だちの口コミで、ぽつぽつ宿泊する人が来るようになりました。

隣の家が古い住宅を手放すと言うので、安く手に入れて友だちと一緒に改築を始めました。

2年もすれば完成するでしょう。

そこにはさまざまな時代に集めた宝物(=ガラクタ)を飾っておくつもりです。

Aさんのようなムダのない生き方は悪くないのかもしれませんが、少々面白みに欠けるように思います。

Bさんのような生き方は狙ってできるものではありません。

ですが、こうした台本のない人生も、けっこう何とかなるものです。

やったことのある人は、そのことを経験的に知っています。

要領よく生きられるのは理想と言えますが、たまには体に悪い食べ物だって食べたくなりますよね。

ジャンクフードとか。

「働いたら負け」と考える人がいます。

同じ給料をもらうなら、それに費やす労力は最小にしておくのが得という生き方です。

理屈としてはわからないでもありません。

ですが人生の取り分は一定ではありません。

多くチャレンジした人のほうが多くを受け取れます。

リスクの大きさに応じてリターンは大きくなります。

リターンはお金だけではありません。

多くの知人、幅広い情報、さまざまなノウハウ、逆境でも生きて行く勇気......などがリターンです。

チャレンジには失敗がつきものです。

ムダの多い、失敗の多い人生にこそ人生を豊かにする種が眠っています。

一度も失敗したことがない人は、一度もチャレンジしたことがない人だってよく言いますよね。

あえて専門分野の人から離れてみる

普段あなたとは接点のない世界に思い切って飛び込みましょう。

その人はあなたが経験したことのない世界を知っている人です。

ワクワクしませんか。

想像もしていなかった世界に目を開かされるでしょう。

なるべく知り合いがいない場所に顔を出すのがいいです。

同級生がいない、同業者がいない、同性がいないところなどです。

相手から見れば、あなたのほうが未知の世界を知る人です。

相手はあなたが日常について話すだけで目を輝かせます。

4〜5人のグループに分かれて、それぞれ10分ずつ自分の職業の魅力について語るという体験をしたことがあります。

2セット行いました。

未知のジャンルの専門家から聞く話はとても刺激的でした。

水道工事業、造園業、印刷業、飲食店、建築業、種苗業......。

僕の話に対して、想像もつかない方向から質問が飛んできました。

精神科は保険が効かないと思っている方もいるし、人見知り(社交不安症)が治る病気だとご存知なかったり。

女子率99%のガレットとクレープの専門店に一人で入ったときにも発見がありました。

それまで女性や子供が好みそうな食べ物というくらいの認識でしたが、そこで食べたシナモンシュガーのクレープがとてもおいしかったんです。

上質なシナモンが甘さを引き締めていました。

「あれっ、大人の味だったんだ!」

思いもよらない体験でした。

意識的に考えていたわけではありませんが、プライベートでは医師の集まりとは距離を置き、医師が一人もいない集まりを選んで参加してきました。

自分とは違うジャンルの人のほうがずっと刺激的だからです。

それに同業者の集まりより気楽ですしね。

「別れ」をたくさん経験しよう

人生にはさまざまな出会いがあります。

それが同時に意味するのは別れがあるということです。

少数の人との付き合いを大事にする生き方も素敵ですが、大勢の人と出会い大勢と別れる人生も魅力的です。

後者の生き方を支えるのは「ポジティブな孤独」です。

ムダなことをしましょう。

ピンときたら怖がらずに手を出しましょう。

失敗も含めてあらゆる経験はその後の人生に彩を与えてくれます。

「チャンスは貯金できない」という国際政治学者ヘンリー・キッシンジャーの名言もあります。

うまく行かなかったらまたやり直しましょう。

人生にはたったひとつの正解なんてありません。

二通りの人生を同時に生きることはできないのですから、どっちの人生がよかったかなんてわかりません。

自分の選んだ人生が正解だと思って生きていきましょう。

人生は何とかなります。

それに人間は必ず死んでしまうのですから。

何か寂しい...そんな人に。「孤独を軽やかに生きるノート」記事リストはこちら!

104-H1-kodokuwokaroyakani.jpgノート式の認知行動療法!5章にわたって書き込み、読み進めていけば、「あなたの孤独」がわかります

 

反田克彦(そりた・かつひこ)
1957年生まれ。あさなぎクリニック・心療内科院長。順天堂大学医学部卒業。山梨大学、HANAZONOホスピタルを経て、あさなぎクリニックを開院。家庭裁判所の嘱託医や山梨県教育委員会産業医などを歴任し、講演活動も多い。精神科専門医、精神保健指定医、医療観察法判定医など多くの学会に所属。著書に『人見知りが治るノート』(すばる舎)がある。

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『孤独を軽やかに生きるノート』

(反田克彦/すばる舎)

家庭や職場に居場所がない、訪れる老いが心配…そんな孤独のもととなる拒絶や脱落、喪失といった不安を、「認知行動療法」で軽くしていきます。自分を理解する助けになるチェックリストや書き込み欄も充実。孤独と向き合い、楽しみ、備えるために、役立つ一冊です。

※この記事は『孤独を軽やかに生きるノート』(反田克彦/すばる舎)からの抜粋です。

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