新型コロナウイルスの影響で、外出を控えている人も多いですよね。「家で過ごす時間が増えたいまこそ、断捨離の絶好の機会です」と、やましたひでこさんは言います。それでも、「手放すのがもったいない、という思い」「物がなくなるのことへの不安」「災害などへの危機意識」という「3つの気持ち」が、断捨離のブレーキになっている...とやましたさんは言います。そこで今回は、「手放すのがもったいない」という気持ちの解消法について、やましたさんに教えていただきました。
過去に買った物をいま、活用していますか?
使っていないなら、その方がもったいない。
所有する物は"いま"の自分を軸に
捨てようかな?と思った時点で、関係は終わっている
"もったいない〟という気持ちを解消するには、物と自分との関係性の見直しを。
やましたさんがそう提案してくれました。
「例えるならば、人形やぬいぐるみ。普段はあることも忘れ、眺めることもないとしたら、関係は良好とはいえません。放置したまま、限られた家の空間を専有している方がずっともったいない」
人間関係と同じように、物と自分との関係性も時間とともに変わっていくものです。
出会ったときはうれしい。
手に入れた喜びと、一緒に過ごす幸せがあって関係は良好。
でも、それは過去のこと。
関係が終わっていることに気付かず、手に入れた当時の気持ちを思い出して、引きずっているだけかもしれません。
何を持つかは、過去ではなく"いま"を軸に。
いま、ここにいる私が快適かどうかを最優先に考えれば、"もったいない"気持ちは自然になくなります。
その勢いで断捨離をして、新しい気持ちで前向きに日々を送れるようにする方がいいはず。
それに、部屋にあふれた物がいつも気になったままでは疲れてしまいます。
維持するスペースだけでなく、時間や労力、お金もかかっていいことはありません。
生活必需品以外は記念品と考えてみる
もう一つ、"いま〟の自分を大切にするために、やましたさんが実践しているのは「生活必需品以外は記念品」と捉えること。
「人には、時間経過に対する根源的な恐れがあります。生きてきた事実が消えてしまうのではないかという心もとなさを、その証になる物をとっておくことで担保し、安心しようとするんです」
油断するとあふれる物は、過去としか結び付いていない単なる記念品。
そう思えば執着が減り、捨てるきっかけになります。
「常に、物を通して"いま〟この瞬間に立ち返るようにしています。捨てても、元気な自分さえいれば、大丈夫なんです」
"いま" の自分に必要な物だけでいい
やましたさんのご自宅のキッチンと、日用品の収納棚を見せていただきました。
キッチンに立つやましたさん。物が少なく料理もしやすい。
●毎日使う物は、上から見渡せる数だけにすると、もっと活用できる
お玉やレードル類の引き出し。同じ用途の物をサイズや形違いで持たず、一つずつに絞っている。
冷蔵庫内もスッキリ。入っている物を常に見渡せるから、賞味期限切れの調味料発見!という失敗もなし。
食材を切るための道具類。物と物の間も空けてあるので、必要なときにすぐに取り出せて、しまうのもラク。
洗剤類の引き出し。それぞれどれくらいのサイクルで使い切るかを把握して、これ以上量を増やさない。
●ゴミ箱はなくても大丈夫。紙袋が便利です
洗面所にゴミ箱を置かず、紙袋を常備。紙袋が傷んだらそのまま捨てるので手間がかからない。キッチンの生ゴミもこの方法で。
日用品も余裕をもって"飾るように"しまっている。ゴミ箱代わりの紙袋のストックもここに(下段右)。
取材・文/飯田充代 撮影/齋藤ジン イラスト/サノ マキコ