秋から冬にかけて旬を迎えるれんこんは、胃や腸といった消化器、鼻やのどの呼吸器など、体を守ってくれる成分をたくさん含んでいます。食物繊維が豊富で腸を整え、免疫力もアップ。熱に強いビタミンCも含むので、疲労回復や風邪の予防にも有効です。管理栄養士で料理研究家の村上祥子さんにれんこんの「栄養と扱い方」についてお聞きしました。
栄養のためにはなるべく酢水につけないで!
れんこんを切ると黒くなるのは、タンニンが空気に触れて変色するからです。
そこで色止めのために酢水につけるのですが、タンニンだけでなく、ビタミンCなどの有効成分は水につけると失われていきます。
白さを生かして仕上げたい調理のときは、サッと短時間だけ酢水ですすぐ程度にするとよいでしょう。
それ以外では酢水につけるのは不要。
タンニンなどのアクに含まれる成分には健康成分も多いのです。
なるべく切ってすぐに調理すれば変色も最小限に抑えられます。
アクにも有効成分あり!れんこんの栄養と扱い方
●粘膜を強化する
れんこんは胃粘膜を潤して胃壁を守り、鼻やのどの粘膜も強化します。
昔から民間薬としてせき止めに利用されてきました。
また漢方では実や種、花や葉も薬用に用いられています。
●タンニンの殺菌効果
れんこんを切ったまま放置しておくと黒く変色するのは、ポリフェノールの一種タンニンによるもの。
抗酸化作用や殺菌効果があり、食中毒予防や抗生物質が効きにくい細菌やウイルスなどの繁殖を防ぐ働きもあります。
●不溶性食物繊維で腸が元気
れんこんに豊富に含まれる不溶性食物繊維は、水分を吸収して膨らむので腸の蠕動運動を促進して便秘解消や肥満防止に。
また有害物質を体外に排出して、血糖値やコレステロール値が上がるのを予防します。
●ビタミンCで免疫強化
レモンに匹敵するほどビタミンCの含有量は豊富です。
免疫力をアップしてストレスに負けない体作りに。
れんこんのビタミンCは、でんぷんにガードされていて加熱しても損失が少ないのも特徴です。
れんこんの選び方
節の部分がカットされて断面が見えているものは、空気に触れて変色している場合があります。
なるべく節が残っているものを選ぶのがおすすめです。
れんこんは切り方によって食感が変わります。
薄い輪切りならシャキシャキとした歯応えになり、乱切りや厚切りで煮込むとホクホクに。
繊維に沿って縦に切ると歯応えが残り、繊維を断って厚めに切るとやわらかい食感になります。
蓮餅のようにすりおろして使うともっちり感も楽しめます。
【まとめ読み】特集「冬の体を守るれんこんレシピ20」記事リスト
取材・文/石井美佐 撮影/スタジオCOM(中野正景・江口 拓)