総理大臣、選挙、憲法改正など話題の尽きない日本の政治。とはいえ、話が大きすぎてよく分からないという人も少なくないでしょう。そこで、カリスマ塾講師・馬屋原吉博さんの著書『今さら聞けない 政治のキホンが2時間で全部頭に入る』(すばる舎)から、「わかりやすい政治用語の基本」の一部を抜粋してお届け。基本を知ると、今の世の中がよくわかります。
「政治」=「ルールの運用」
集団生活にはルールが必要
「政治」とは何か、という問いに答えるのは簡単なことではありません。
ためしに辞書を引いてみると、以下のように書かれています。
①統治者・為政者が民に施す施策。まつりごと。
②国家およびその権力作用にかかわる人間の諸活動。
広義には、諸権力・諸集団の間に生じる利害の対立などを調整することにもいう。(三省堂大辞林第三版)
私は職業柄、小学生に向けて話をすることが多いのですが、残念ながら、辞書の文言をこのまま見せても、わかりやすく説明したことになりません。
そこで、下記のような表現を使っています。
政治とは......
①ルールを作ること
②ルールを世の中にあてはめていくこと
③問題をルールに則って解決すること
多くの学校や塾には「授業中は私語禁止」というルールがあります。
このルールを生徒たちに守らせるには、細かい調整が必要です。
先生が冗談を言ったときに笑うのは許容されるでしょうし、「体調が悪い場合やトイレに行きたい場合は手をあげること」といった細かいルールが別に設定されることもあるでしょう。
また、ルールを無視してペチャクチャ話している生徒がいれば、先生は注意しなければなりません。
子どもたちには、こうした例を使って、ルールの制定や運用に関する作業を「政治」と呼ぶのだと、まずはイメージしてもらっています。
法律は2000近くあり、毎年増えている
学校には校則が、会社には社則がありますが、国の政治における代表的なルールは「法律」です。
日本にはすでに2000近い数の法律があり、毎年新しい法律がどんどん生まれています。
政治家や官僚が「世の中のしくみを変えたい」とか「新たに何かを始めたい」と思ったら、まずは現行の法律を確認するところから始めます。
そして、必要に応じて、新しい法律の制定や既存の法律の改正を検討することになります。
特定の分野に関して法律を作り、それを運用していく。
その分野で発生した問題を法律に則って解決していく。
それが「政治」です。
これは、多くの方がかつて学校で学んだであろう、「三権分立」の考え方そのものです。
三権とは、立法(法律を作る)、行政(法律を世の中にあてはめていく)、司法(問題を法律に則って解決する)という3つの作用のことです。
日本では、立法を国会、行政を内閣、司法を裁判所が、それぞれ担当します。
立法・行政・司法
「政治」のイメージを思い出してみましょう。
①~③までの「ルール」を「法律」に変えると、下記のようになります。
①法律を作る=立法(国会)
②法律を世の中にあてはめていく=行政(内閣)
③問題を法律に則って解決する=司法(裁判所)
そのため、立法(国会)、行政(内閣)、司法(裁判所)の3つについて学ぶことが、すなわち「日本国の政治」について学ぶことだと言えます。
全8章にわたってカリスマ塾講師が政治に関するさまざまな用語をわかりやすい図解で解説しています