「どんな風に話すかで人生は変わる」と言うのは、全国で多数の講演を行う人材育成のプロ・永松茂久さん。そんな永松さんが会話のノウハウをまとめた著書『人は話し方が9割』(すばる舎)から、「好印象を与える会話のコツ」を抜粋してお届けします。
沈黙は悪いことではない
人と一緒にエレベーターに乗った時に、沈黙になるのが気まずい。
そんな悩みを聞いて、びっくりしたことがあります。
話すことがないのなら、話さなければいいのです。
これくらい軽く割り切っていいと私は思います。
なのにそれができないのは、あなたの心の根っこに、「沈黙はダメ」という思い込みがあるからかもしれません。
仲のいい人となら、エレベーターの中でふと沈黙が訪れても、「気まずい」とはならないでしょう。
なのに「エレベーターの中の沈黙が嫌」というのは、紐解いてみれば、「話したくない人とも話さなくてはいけない」という思い込みがあるからではないでしょうか?
しかし、相手はどういう人かわかりません。
人それぞれ個性があり、中にはあなたの個性と波長が合わない人がいるかもしれません。
そこを無理に話しかけようとするほうが無謀です。
沈黙はダメなこと。
その呪縛から、一刻も早く解き放たれましょう。
そもそもエレベーターは公共の場所ですから、無理に話しかけるくらいなら、降りたその先のことを考えながら過ごしましょう。
もしくは、「こんにちは」と笑顔で挨拶して、あとは1人で勝手にニコニコしていればいいのではないでしょうか。
笑顔も1つの会話ですから。
話しやすい人との時間を意識して増やす
話し方の講座をしていると、「会話の難しい人と距離をうまく詰めるために」学んでいる人が多いことに驚きます。
しかし、運動でも共通して言えることですが、いきなり有段者の真似をしても技術は上達しませんよね。
何が言いたいかと申しますと、会話の難しい人との距離を無理に詰めなくていいということです。
もっと言えば、今の時点で会話が難しい人とは、話さなくてもいいのです。
できる限りスルー。
これはあなたが思うほど悪いことではありません。
まずは、自分の話しやすい人とだけ話すことで会話力を磨いていく。
そのためには、あなたが話しやすい人との時間を増やしていくということが一番の近道なのです。
ゲームでも映画でもそうですが、いきなり〝ラスボス〞を倒すことはできません。
まずはあなたが話しやすい人、質問しやすい人、あなたの話に共感してくれる人を相手に、小さな成功を積み重ねていくことから始めていけばいいのです。
【最初から読む】「否定しない空間」を作れば誰でも上手に話せる
人を動かす、会いたいと思わせる、嫌われないなど37の会話のコツを全4章で解説しています