人との距離を取る新しい暮らし方に慣れてきても、悩みが尽きないのが「人間関係」。これを円滑にできる方法の一つに「相槌対話法」というテクニックがあります。そこで、実践的な技術がまとめられた書籍『誰とでも会話が続く相づちのコツ』(齋藤勇/文響社)から、すぐにできる相づちの「さしすせそ」と「あいうえお」の使い方を連載形式でご紹介します。
話し相手の承認欲求を最も高めるには?
「さすが!」
「さすが、社長」
「さすが」は評価の相槌であるが、その中でも、最も相手を高く評価する相槌です。
「さすが」と言われて、悪い気のする人はいないでしょう。
その評価は、単にその場の業績や成果をほめたものではなく、本人の個性や能力、才覚をほめた相槌なので、話し手としてはことのほか、嬉しいはずです。
顔に表さない人でも、心の中で、にんまりとしているはずです。
「さすが」は、承認欲求が最も満たされる相槌といえます。
人は誰でも、自尊心をもっており、それが満たされることを望み、そのため、成果をあげようと日々、努力し苦労しています。
その結果、仕事をなしとげ、成果をあげることができ、我が意を得るわけです。
しかし、それだけでは、自己重要感や自尊心は十分満たされません。
周りの人から高く評価され賞賛されたとき、はじめて、自己重要感やプライドが満たされ、自らも満足できるのです。
そのためには周りの人からの評価が必要です。
その周りの人の評価とは、具体的には賞賛の相槌です。
「すごいですね」という成果評価に、さらに加えられる相槌の「さすがですね、部長」という「さすが」の相槌が決め手となります。
「さすが」という相槌は、目の前の成果だけでなく、その人の特別の性格や秘めた才能をほめるので、話し手としては、いわば全人格、さらには秘めた才覚を高く評価されたことになり、いたく感じ入ることになるのです。
それは、「さすが」の相槌は、ほかでもない「その人らしさ」をほめるからです。
誰もが、世界に一人だけの人で、それぞれの人がほかの人とは違う独自性を持っています。
またそれを内心、自負もしています。
しかし、なかなか人から認められず、もどかしい気持ちとなります。
その時、その気持ちを満たしてくれるのが、相手の人からの「さすが」なのです。
あなたが、「さすが」と言ったときに、相手の人は、自分らしさを認めてくれる人にやっと出会えたと、うれしくなるのです。
人は誰しもが独自の個性を持っていると自負していますが、それを心理学では「ユニークネス」といいます。
このユニークネスを満たすぴったりの相槌が「さすが」なのです。
その効果のすごさにあなたは驚くと思います。
よほど、不適切な使い方をしない限り、相手の人から好意を持たれ、信頼されること間違いなしです。
相槌は、同じ人にいろんな場面で何回も使うことにより、相手に信頼感を与えることができます。
一回だけでは、その場だけと思われてしまいます。
何回も評価の相槌を打つことにより、相手から信頼されます。
そして、相手の人は自分の自尊心を満たしたいときに、あなたを探すようになるのです。
その時こそ、信頼を勝ち取るチャンスです。
【最初から読む】「すごい!」一つで人間関係の悩みがスッキリ!
コミュニケーションを円滑にする相づちのテクニックが全5章で解説されています