美容院での会話が苦手...という人に。元コミュ障アナが教える「相手への上手な質問テクニック」

初めての人と話すのが苦手! 1対1で話すのが怖い! どうでもいい会話の対処がわからない! 最近は、スマホの普及によりそう感じている人が増えていると思います。元コミュ障のアナウンサー・吉田尚記さんは「会話のテクニックを覚えたらちょっと楽しいと思えるようになります」と言います。そこで、吉田さんの著書『元コミュ障アナウンサーが考案した 会話がしんどい人のための話し方・聞き方の教科書』(吉田尚記/アスコム)より、日常生活の中でいろいろ使える会話術をお届けします。

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どんな相手にも面白いエピソードが眠っている

なんということもない雑談を広げていく方法は、できるだけたくさん知っておいた方がいい。

そして、ただ知るだけでなく、実際に使って試行錯誤してみることがこの本の大切な目的です。

多くの人が「美容院でのコミュニケーションが苦痛」という悩みを持っているということでしたが、この記事などで身に付ける武器を説明したり、試しに使ってみたりする場として、美容院はすごくわかりやすいと思うんです。

よほどの有名人じゃない限り、個々の美容師さんの情報って事前には集められないと思うかもしれませんが、SNS全盛の今、自ら情報を発信してくれている方も結構います。

カットスタイルとか、ちょっとした趣味とか載せているインスタ、私も見かけたことがあります。

あるんだったら絶対事前に見ておいた方がいいし、SNS自体がもはや話題の対象に十分なりますよね。

「SNSやっているんですね、載せるカットと載せないカットの基準はあるんですか?」とか、「最近SNSやっている美容師さんもいますけど、されているんですか?」とか。

そこからSNSは面白いとか面倒とか、写真の撮り方とか、画像編集とか、好きな有名人のSNSとか、いろいろ展開していけます。

確かに私も、以前は美容院が苦手だったかもしれない。

でも、今は自分が興味を持ったことをどんどん聞いています。

まったく違う業界で仕事をしている人と話す機会があると、どうしても聞きたいことができてしまう。

「はさみってどうやって買うんですか? 私が買いたいと思ったら、東急ハンズとかで買えるんですか?」とか「ヘアカラー剤ってどのくらいの期間で新製品が出るんですか?」「今回の商品は何が改良されたんですか?」とか、いろいろ聞いたりして、実はルーマニアから取り寄せたもので......なんていう驚きの情報に出会ったりしているうちに、あっという間に時間が過ぎちゃう感覚です。

新しいアシスタントの方がついてシャンプーをしてくれるような場合は、事前情報が皆無というシチュエーションを試す絶好の機会ともいえますよね。

デビュー間もないアイドルを相手にしたときと同じような感覚です。

「新しく入られたんですか?」とか、「出身地はどこ?」とか「ご家族にも美容師さんがいるの?」とか。

「朝ごはんは何を食べた?」とか本当にどうでもいい質問をして、どんな言葉が返ってくるか待っているんですよね。

美容院でシャンプーされているとき、「どこかかゆいところはありますか?」っていう、定番の確認フレーズがあるじゃないですか。

私、あれを聞くとつい「ここで『かゆいところあります!かいてください!』っていう人、本当にいるんですか?」って聞いてしまう。

実際ほとんどいないだろうけど、いたらいたでその話を聞きたいじゃないですか。

そうしていろいろ話していたら、初めて担当してくれた若い方から、最新のビジュアル系バンドの話につながったこともありました。

美容師さんからエピソードを引き出しちゃいけないって、無意識に思っていませんか?

そんなことありません。

どのような人であろうと、その人生はまるで本のような存在で、オリジナルのエピソードでできていない人はいないんですよね。

少なくとも私の人生とは相当違う部分があるはずです。

美容師さんを「美容師」という職業だけで見るのではなく、目の前にいる一人の人間としてみれば、いろいろと聞きたいことが出てくるのではないでしょうか?

年代、性別、職業、出身地、趣味......何でもそうなんですけど、同じ時間を同じ町で生活しているわけですから、相手が人類でありさえすれば、必ず会話はできます。

事前に相手の情報を知っておくことも大切ですけど、その場での対応だからこそ、面白い展開が待っていることもあります。

それは、誰でもできることなんです。

その武器となるものを紹介していきます。


悩み 雑談がなかなか広がらない

答え 相手が話し始めるまで質問を続ける


「答えやすい質問」は自分も相手もラクにする

吉田アナ 初めての相手でほとんど事前情報がない場合、自分との共通点や相違点がわからない状態にあります。さすがに性別くらいはわかるかもしれませんが、もはやそれさえ確実ではないかもしれない。ここでまず有効なのは、「誰でもが考えずに答えられることを聞く」というテクニックです。「ご出身はどちらなんですか?」という質問は、2つの点で優れているといえます。当たり障りがなく失礼になる可能性が極めて少ないこと、そして誰にでも「出身」はあるということがポイントです。あちこち引っ越しして、出身地が定かでない人もいるかもしれませんが、それはそれで貴重な情報です。もうひとつは、時事問題や最近話題になった出来事を聞くこと。先ほど出てきた「ラグビーワールドカップ」の話題でも、流行っている食べ物の話題でも、とにかくほぼ誰でも知っている話題であれば、少なくとも1往復の会話は成立します。

質問者 「ご出身は?」→「◉◉です」→「はあ、そうですか...」で終わっちゃうんですが......。

吉田アナ そういうこともありますよね。相手側がまだ話すための心の準備ができていない場合もあれば、相手も初対面の人が苦手かもしれないから、すぐにいろいろ情報を出してくれるとは限らないわけです。そんなときは、こちらから話を広げる必要があるのですが、自分がしたい話を、まずは相手にしゃべってもらうという武器があるんです。

【武器】自分が話したいことをまずは相手に質問してみる

もし自分の地元の話がしたいなら、あるいは地元の話ならできるという自信があるなら、「ご出身はどちらなんですか?」→「宮城なんです(黙る)」→「そうですか、私は山梨なんですけど......」という形につなげればいいんです。

山梨のことなら、自分の出身地として話せることはいくらでもありますよね?

その中から、相手が興味を持てそうなことを探していくんです。富士山や富士五湖に遊びに来たことがあるかもしれないし、富士急ハイランドの絶叫マシーンに乗ったことがあるかもしれない。名物の巨峰やほうとうを食べたことがあるかもしれない。

マンガやアニメに詳しい人だったら『ゆるキャン△』(山梨県周辺を舞台にしたマンガ・アニメ作品)ということも、歴史好きなら武田信玄ということもあるかもしれない。

相手が話し出しそうなテーマを見つけたら、まずはそこから広げていけばいいわけです。

ちょっと脱線しますが、海外の方と話をするとき、「日本」について聞かれることがよくあります。相手があなたのことを知りたいと思ってるパターンだって、かなりあるはずです。

お悩みに「初対面の人と何を話していいかわからない」、逆に「むしろある程度知っている人との会話が苦手」といったものがありましたよね。

正反対に見える悩みですが、なんと同じ方法で改善できるんです。

ちょっと根性論っぽくなってしまいますが、とにかく腹を決めて質問を続けて相手が話し始めるのを待つんです。

富士山から登山の話になるか、巨峰からワインの話になるか、武田信玄かゲームの話になるかはわからないけれど、必ず乗っかってくるポイントがある。

そこで間違えてはいけないのは、相手が話し始めたらその流れに任せることなんです。

私が会話の分析ができるようになったのは、どこで相手が食いついて、自分のことを話し始めたかを常に注意深く観察したからなんです。


悩み 会話の流れが自分の話したいテーマにならない

武器 自分が話したいことをまずは相手に質問してみる


自分が話したいテーマがある、自分の得意なジャンルで会話を進めたいという場合に使う武器です。

自分で話す「ドリブル」のための技術ですね。

自分が話したいことを一方的にしゃべり続けてしまい、相手がなんだかつまらなそうになってしまった、という経験はありませんか?

いきなりドリブルを始めると相手が付いてきません。

まずは、パスを出すこと。

これから展開していきたいテーマに関する質問を相手に投げかけ、その答えを受け止めてください。

自分の得意なジャンルなら、どんな答えが返ってきても、反応できますよね。

相手が積極的に話し出してくれたら、それを優先すること。

それでなごやかな会話が制限時間まで続いたら万々歳です。

「聞いてほしいオーラ」を出しすぎてしまうと、人は聞いてくれないものです。

時間があって自分の話もできればラッキー、ぐらいに思っていた方が、相手も聞いてくれるんですよね。

×自分「私は○○県出身なんですけど......」

○自分「どちらのご出身なんですか?」

相手「××県なんですよ」

自分「そうなんですね!××県、以前に旅行で一度行ったことがありますよ。□□がおいしいですよね。私は○○県の出身なんですけど......」

《実践例》

質問者 相手が乗ってくるかわからなくても、やはりこの手順を踏んだほうがいいのでしょうか?リアクションが薄いと、この話題はつまらないのかな...と不安になります。

吉田アナ 話しているときの相手の反応は、チェックしましょう。最初の回答以降、自分だけが一方的に話してしまったら会話が成立しませんよね。一人で話すことが得意で、描写力で相手を楽しませられるならいいですが、なかなか難しいものです。話術を鍛えるよりも、質問する力を養う方が簡単ですし、自分自身もラクです。相手が興味を持ってくれるような気配がないなら、改めて別の質問をしたほうがいいです。得意ジャンルが1つだけ、ってことは、ないですよね?

【登場人物】吉田アナ=吉田尚記

※コミュ障は「コミュニケーション障害」の略称。本来、言語障害や語音障害など、医学的な診断基準に基づく疾患として分類されるもの。現在は一般的に「他人とコミュニケーションをとることが苦手であることを表す俗称」として使われることが多い

【まとめ読み】『会話がしんどい人のための話し方・聞き方の教科書』記事リスト

H1_話し方・聞き方の教科書.jpgキャリア20年のアナウンサーが自身の学んできた会話術を全4章にわたって紹介。心理学の研究者などの解説付き。

 

吉田尚記(よしだ・ひさのり)
ニッポン放送のアナウンサー。ラジオ番組のパーソナリティのほか、テレビ番組やイベントでの司会進行など幅広く活躍。またマンガ、アニメ、アイドル、デジタル関係に精通し、「マンガ大賞」発起人となるなどアナウンサーの枠にとらわれずに活動中。2012年に「第49回ギャラクシー賞DJパーソナリティ賞」を受賞。著書も多数。

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元コミュ障アナウンサーが考案した 会話がしんどい人のための話し方・聞き方の教科書

(吉田尚記/アスコム)

自身も「コミュ障だった」と語る現役アナウンサーが「会話が苦手だ」と思う人のために書いた一冊。実際に「どんなことで困っているか?」をアンケートで集計し、その中から日常生活でコミュニケーションにしんどさを感じている人のために「会話の仕方」を具体的に説明してくれます。心理学の研究者などにもわかりやすく解説してもらい、一般人向けに会話術をやさしく教えてくれる良書です。

■『元コミュ障アナウンサーが考案した 会話がしんどい人のための話し方・聞き方の教科書』の紹介動画もチェック!

※この記事は『元コミュ障アナウンサーが考案した 会話がしんどい人のための話し方・聞き方の教科書』(吉田尚記/アスコム)からの抜粋です。
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