外出自粛で怖いのは「筋肉量の低下」です。プロに聞いた、自宅でできる「筋肉維持ストレッチ」

新型コロナウイルスによる外出自粛が続く中、「自粛太り」「運動不足」が気になりますよね。でも、実は本当に怖いのは「筋肉量の低下」だと、理学療法士・横山政和さんは指摘します。特に、筋肉量が「そこそこある」40~50代は、筋肉が落ちるスピードが早い上に、20代とは違い回復に時間がかかるため、最もケアしたほうがいい年代だといいます。自粛明け、通勤で何気ない階段で筋肉痛にならないために...横山さんに、筋肉低下を防止するための「自宅でできるトレーニング法」を教えていただきました。

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外出自粛による体力低下、影響を受けやすいのは...60代より40~50代!

こんにちは!  理学療法士の横山政和です。

自粛期間が長期化して、学校に行けない子どもから、在宅勤務に切り替わった大人まで、多くの人の「運動不足」や「自粛太り」が話題となっていますね。

もちろん動かないと筋肉量が減るので、代謝が落ちて、今までと同じ食事量でも太りやすくなります。

でもそれよりもっと恐ろしいのは...「筋肉量が減ること」なんです。

特に注意してほしいのは、60~70代より40~50代の皆さん。

というのも、筋肉量が多い人ほど、筋肉量の低下も大きいからなんです。

2015年に発表されたコペンハーゲン大学の研究で、2週間に渡り参加者の足と固定して全く動かせない状態を作り出し、平均年齢23歳(若者)と同68歳(高齢者)のグループに分け、各グループの下肢の筋肉減少量を計測したところ、筋肉量が多い人ほど筋肉量の低下が大きいという結果が発表されたのです。

寝たきりの場合、一日に1~3%、1週間では10~15%の筋力低下を起こすと言われていますが、これを回復させるには、少なくとも1ヶ月はかかるとも言われています。

また、筋力低下から関節に痛みを起こす事も多く、痛みで運動機会が減り、更に筋力が低下する...という悪循環を辿る事も少なくないのです。

もちろん自粛期間は寝たきりとは異なりますが、自粛明けに驚くほどに体力が低下しているはず。

そこで、今からお伝えする、自宅でできる4つのトレーニングに励んでおきましょう!

「鍛える」よりも「筋肉維持」のための4つのトレーニング

日常生活で培った筋肉は、気づかないところでついています。

意識的に鍛えて付けた筋肉ではないので、トレーニングする際はどこの部位に対してトレーニングしているのか、意識的にやってみると効果が上がりますよ。

1.たかが「足踏み」、されど「足踏み」(午前・午後、各20回)
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まずは全身運動「足踏み」からやってみましょう!

背筋を伸ばしいい姿勢を保ちながら、膝を高く上げることより、支えている膝が曲がらないことを意識しながら行います。

顔は常に正面で、上げた膝に、降り下げた腕を近づけるイメージです。

外出自粛で怖いのは「筋肉量の低下」です。プロに聞いた、自宅でできる「筋肉維持ストレッチ」 DSC02981.jpg普通に足踏みする時より、意識的に腕を大きく振ってみるとやりやすいです。

この時、支えている膝が曲がらないこと、背中が丸まらないことが大切です。

ただし膝を伸ばすことを意識しすぎて反るほどに伸ばすと、逆に膝を痛めるので適度に。

外出自粛で怖いのは「筋肉量の低下」です。プロに聞いた、自宅でできる「筋肉維持ストレッチ」 DSC02982.jpgゆっくり、膝を上げたところで姿勢や膝を確認しながらやってみると効果的です。

外出自粛で怖いのは「筋肉量の低下」です。プロに聞いた、自宅でできる「筋肉維持ストレッチ」 DSC02818.jpgNG例です。

膝を高く上げようとしたり、早く足踏みしようとすると写真のように、上げた方の膝が内側に入ってしまったり、支えている足の膝が曲がってしまい、全身のバランスが崩れてしまいます。

腕は共に伸ばした方が全身のバランスが保ちやすいです。

2.下半身にじわじわ来る「大股スイング」(午前・午後、各左右10回)

外出自粛で怖いのは「筋肉量の低下」です。プロに聞いた、自宅でできる「筋肉維持ストレッチ」 DSC0300123.jpg次は名前の通り、下肢を大きく動かす運動です。

腰が痛い人、膝が痛い人は大きく開く必要はないので、できる範囲でゆっくりやってみましょう。

① 姿勢よく最初の位置に
外出自粛で怖いのは「筋肉量の低下」です。プロに聞いた、自宅でできる「筋肉維持ストレッチ」 DSC02992.jpg背中が丸くならないよう意識します

② 大きく一歩出す
外出自粛で怖いのは「筋肉量の低下」です。プロに聞いた、自宅でできる「筋肉維持ストレッチ」 DSC02993.jpg出す方の足はかかとから着地させるイメージで。

③ 曲げた膝は90度、背中はまっすぐ

外出自粛で怖いのは「筋肉量の低下」です。プロに聞いた、自宅でできる「筋肉維持ストレッチ」
外出自粛で怖いのは「筋肉量の低下」です。プロに聞いた、自宅でできる「筋肉維持ストレッチ」

出している足と反対の手を出している足の大腿部に、その反対の手は臀部に触れると体勢がキープしやすいです。

上半身がすこし前傾になると、支えている方の足の臀部から太ももが伸びて気持ちいいです。

このポーズで一度止まって、姿勢など確認するようにしましょう。

④ 出した足を戻す
外出自粛で怖いのは「筋肉量の低下」です。プロに聞いた、自宅でできる「筋肉維持ストレッチ」 DSC02995.jpg③で出した右足を戻します。思いっきり戻すので、最初の直立の姿勢ではなく、支えていた左足より後ろに戻すことを意識しましょう。

3.イスを使った「立ち上がりからの踵上げ」(午前・午後、各20回)

外出自粛で怖いのは「筋肉量の低下」です。プロに聞いた、自宅でできる「筋肉維持ストレッチ」 DSC02974.jpgただ座っている状態から時間をかけて立ち上がり、そのままかかとを上げで体を伸ばす運動です。

下半身はもちろん、腕を伸ばしながら行うことで全身に効果的です。

外出自粛で怖いのは「筋肉量の低下」です。プロに聞いた、自宅でできる「筋肉維持ストレッチ」 DSC02967.jpg腰掛ける位置は深ければ深いほど、負荷をかけられるので、自分の体調に合わせて調整してみましょう。

腕は「前習え」のように、まっすぐ前に出します。
外出自粛で怖いのは「筋肉量の低下」です。プロに聞いた、自宅でできる「筋肉維持ストレッチ」 DSC02973.jpg4秒程度かけてイスから立ち上がります。

外出自粛で怖いのは「筋肉量の低下」です。プロに聞いた、自宅でできる「筋肉維持ストレッチ」 DSC02972.jpg2秒程度かけてかかとを上げます。かかとを伸ばしきったら、同じように時間をかけ、イスに腰掛けます。

この動作で1セットです。

4.お尻から全身を鍛える「お尻歩き」(午前・午後、各1mほどを1~2往復)
外出自粛で怖いのは「筋肉量の低下」です。プロに聞いた、自宅でできる「筋肉維持ストレッチ」 DSC02870.jpg座ったままできるトレーニングです。

足を伸ばした状態で、お尻で歩きます。

この時、足と一緒で、腕を大きく振った方が早く歩けます。
外出自粛で怖いのは「筋肉量の低下」です。プロに聞いた、自宅でできる「筋肉維持ストレッチ」 DSC0286567.jpg背中が丸まらないよう意識しましょう。

知らぬ間についている筋肉だからこそ、ちょっとしたことで維持できるので、ぜひ毎日実践してみてください。

取材・文/栗山春香

 

<教えてくれた人>

横山政和
平成20年に理学療法士免許取得(国家資格)。アメリカ心臓協会BLSヘルスケアプロバイダー。整形外科・脳神経内科・デイサービス・訪問リハビリ、トレーニング相談・指導などを行い、パーソナルトレーナーを務める。筋力トレーニング歴20年越え。スポーツ経験はフェンシング、サッカー(東京ヴェルディ1969相模原支部ユース)、テニス。さらにSASUKE RISING 28回大会、サマースタイルアワード2015への出場歴も誇る

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