年中通して安価に手に入る「玉ねぎ」には、免疫力を高め、生活習慣病を予防するなど健康効果がたくさんあります。さらに、ダイエット効果や疲れを素早く取る働きのある酢を加えた、「みじん酢玉ねぎ」を使ったレシピをご紹介! 今回は、料理研究家の村上祥子さんに玉ねぎのいろいろな疑問に答えていただきました。
Q1:新玉ねぎと玉ねぎでは、調理の向き不向きなどはありますか?
新玉ねぎは玉ねぎを普通より早く収穫して、乾燥させないですぐに出荷します。
軟らかくて甘味が強いのが特徴で、辛味もないのでそのまま生で食べてもおいしいですね。
最近では、葉を残したままのものも出回っています。
新玉ねぎの水分は玉ねぎに比べて10%ほど多く残っているので、生食またはサッと加熱するのがおすすめです。
新玉ねぎは水分が多いので早めに食べ切るようにします。
オニオングラタンのような、じっくり加熱する料理には玉ねぎが向いています。
Q2:加熱調理したときと生食では、栄養面の違いはありますか?
加熱調理で栄養価アップが期待できます。
加熱するとペクチンでできている細胞膜が熱で溶け、細胞内に含まれる健康成分、ケルセチン、イソアリイン、グルタチオンなどが溶け出します。
体内で十分に利用できるようになるというメリットがあります。
Q3:生食する場合は、水にさらさない方がよいのでしょうか?
さらし過ぎると薬効成分が流出するので注意します。
玉ねぎに含まれる成分の多くは水に流れ出やすいので、水にさらすのはサッと短時間で済ませるようにします。
サラダなどにする場合は酢をふりかけて辛味をやわらげ、その残りの酢をドレッシングとして利用すると有効な成分を無駄にすることなく摂れます。
特に新玉ねぎは軟らかく甘味が強いので、水にさらさなくてもおいしくいただけます。
Q3:切ってから、空気に20分くらい触れさせて調理した方がいいといわれますが、なぜですか?
少し放置すると玉ねぎの持つ薬効成分が増えるからです。
玉ねぎを切ると壊れた細胞から出た酵素の働きで、血液をサラサラにする薬効成分が生まれ、常温で置いておくと成分がどんどん増加します。
できれば20分はそのまま放置しておくと良いでしょう。
その後、加熱調理すると薬効成分が増えた分、高い効能が期待できます。
ただし、疲労回復効果を得たい場合は切ってすぐに調理したほうが良いでしょう。
Q5:皮はお茶にすると良いと聞いたことがありますが、どんな良い面があるのでしょうか?
皮はポリフェノールで抗酸化成分ケルセチンの宝庫。
そのまま捨ててしまうのはもったいないですね。
いちばん外側の皮は捨てて内側のきれいな皮を数枚、煮出してお茶として飲むのはとても良い方法です。
また、だしパックなどに入れてスープやシチュー、カレー、煮ものなどに入れるとケルセチンを摂ることができます。
皮を使いたいときは、有機栽培の玉ねぎが安心です。
Q6:生の玉ねぎは辛いのに、加熱するととても甘くなるのはなぜですか?
生の玉ねぎが辛いのはイオウ成分、硫化アリルという成分のせいです。
加熱すると細胞膜が破れ、中のオリゴ糖が溶け出してきます。
玉ねぎに豊富なオリゴ糖は、すいか並みの甘さを持つので、加熱すると甘味が強くなっていきます。
Q7:紫玉ねぎや小玉ねぎも、栄養などは同じですか?
紫玉ねぎは、玉ねぎの栄養プラス赤紫色のポリフェノールの一種、アントシアニンが含まれています。
赤ワインやブルーベリーなどと同じ色素の成分で、眼精疲労や抗酸化に効果を発揮するといわれています。
小玉ねぎは玉ねぎを小さく育てたもので栄養面は玉ねぎと変わりません。
取材・文/石井美佐 撮影/中野正景