仕事や大事な場面で「こんなはずでは...」と思うこと、ありますよね? でも、それは能力の問題ではなく、「メンタル力の低下」が原因かもしれません。そこで、作家の中谷彰宏さんの著書『「イライラしてるな」と思ったとき読む本』(あさ出版)から、ピンチでも動じないメンタルが身に付くアドバイスを連載形式でお届けします。
本番の意識で、練習する
練習と本番とでは、本番のほうがパニックに陥りやすいです。
練習で100回成功していることが、本番ではうまくいきません。
練習で1回も失敗したことがないところで失敗するのです。
それは、練習と本番とで意識を区別しているからです。
「これは練習」「これは本番」という意識で、練習のための練習をしていたのです。
本番の意識が何もない練習をしていると、本番でミスをします。
ボールルームダンスのパーティーで、デモンストレーションの発表の当日は、リハーサルは1回しかできません。
1曲3分ぐらいの曲を1回踊るだけです。
リハーサルでうまくいった人は、本番で失敗します。
これは大原則です。
本番で失敗すると、傷は大きくなります。
いつも間違えているところで間違えた場合は、比較的傷は浅く、すぐにもとのレールの上に戻せます。
ところが、一度も間違ったことのないところで間違うと、レールがどこに行ったかわからなくなります。
立ちすくんで、「頭真っ白」という状態になるのです。
ふだんの練習で、すべての状況を一度間違えておくことです。
本番では、むずかしいところでは失敗はしません。
むずかしいところは教室でも間違えていて、十分練習しています。
実際の本番でミスるのは、簡単なところです。
だからよけいパニックになるのです。
いつもボールペンで書いている漢字を大きな筆で書こうとすると、書き方がわからなくなることがあります。
いつもと感覚が違うので、「こんな字だっけ」と何かヘンな感じがするのです。
どんな状況になってもいつもと同じようにできるのが、メンタル力です。
本番でいつもと完全に同じ状態にすることは、不可能です。
本番は、いつもの1割引、2割引、3割引の状態です。
その割引率をいかに小さくできるかがメンタル力なのです。
【イライラがすっきりする方法】練習で、失敗しておこう。
練習のように、力を抜いて本番に臨む
外国人のスポーツ選手は、あの緊張する本番で自己新記録を出します。
実力以上のことができるのも、メンタル力です。
「ゾーン」という状態に入るのです。
パニックの逆の現象が起こるのです。
勉強や練習をしたら、メンタル力がつくというわけではありません。
逆に、勉強して技術力や知識が増えるほど、怖くなります。
なんの知識も経験もない人は怖さを知らないのです。
練習や経験を積んでいる人ほど、それに見合ったメンタル力を鍛えなければならないのです。
世界陸上で、バスケットボールシューズを履いて走り高跳びに出た選手がいました。
跳び方も違います。
あれだけ跳び方を科学的に研究している走り高跳びの世界で、足を上にして、三段跳びのように跳んでいるのです。
本来、走り高跳びには専門の靴があります。
彼はバスケットボールをやっていたので、足になじんでいるバスケットシューズで跳ぶのです。
「靴が違うよ」と誰かに言われて、次の日、棒高跳びの靴を履いてきました。
本人はいいと思って履いたのに、また違うのです。
そんな人が金メダルをとったのです。
それは怖さを知らないからです。
跳べた本人がびっくりしていました。
まさか跳べるとは思っていなかったのです。
彼が練習すると、どこかで怖さを知って、むずかしくなるのです。
ライバルはみんな怖さを知っています。
メンタル力は、ほうっておいてもつきません。
常に鍛え続けることです。
メンタル力を鍛えるために、ピンチというレッスンがあるのです。
本番をいかに練習のように力を抜いてできるかです。
本番だから一生懸命やるとか、本番だから頑張るというのは、その時点でメンタル力が下がりかけている証拠です。
「ゾーン」に入ると、そんなことは一切考えないのです。
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