世界中から愛され続ける女優、オードリー・ヘップバーン。実は、妖精ともうたわれるその容貌に、コンプレックスを感じていたそうです。銀幕の向こう側で抱えていた葛藤、仕事と家庭の両立、死について、など彼女の言葉がまとめられた『オードリー・ヘップバーンの言葉』(山口路子/大和書房)から、現代の女性たちが共感できるオードリーの名言を連載形式でお届けします。
愛することを鍛える
私たちには生まれたときから愛する力が備わっています。それは筋肉と同じで、鍛えなくては衰えていってしまうのです。
愛する力は筋肉と同じ、だから日々鍛えなさい。
オードリーの愛についての言葉は、多忙な毎日のなかで、摩耗してしまいがちな感覚に、うったえかけるものがあります。
「愛するということ」を意識し続けることが重要。最後の最後まで、オードリーは諦めなかったのです。
葬儀で息子のショーンがオードリーの好きだった詩、クリスマス・イヴにオードリーが二人の息子に読んだサム・レヴェンソンの詩を読みあげ、そしてつけ加えました。
「母は何よりも、ひとつのことを信じていました。それは愛です」
三十分の儀式のあとで児童聖歌隊によって讃美歌が歌われ、オードリーはスイス、トロシュナの村の墓地の、ジュネーヴ湖を見下ろす小高い丘の上に埋葬されました。
シンプルな松材の十字架が立てられた、「オードリー・ヘップバーン」という名と「生年一九二九」「没年一九九三」とだけ記された、オードリーらしいシンプルでシックな墓でした。
美しい生き方
愛は心の奥深くにある感情、生命力の最も大切なものなのです。
アンネ・フランクと同じ年に生まれ、陰惨な戦争を体験し、人生に必要以上の悲しみを知り、父親に捨てられたショックを長い間ひきずり、愛情に飢え、スターになってからも愛情に飢え、二度の離婚で打ちひしがれ、それでも最後は、世界の未来のための活動に身を捧げました。
か細い身体で、過酷な慈善活動を行い、地獄のような光景を目のあたりにして、言いつくせないほどの苦しみを味わいました。
癌に冒され、余命いくばくもないと知っても動じることなく、周囲の人たちに、嘘のような優しさで接しました。
美しい生き方を、その存在感で伝えるという、類まれな資質、気品がオードリーにはあり、それは末期癌をしても崩すことはできませんでした。
根底にはやはり、「愛」があります。
オードリーは、何よりも大切にし続けた「愛」を「生命力」と結びつけることで、最大限に尊重したのです。
「美しさ」とは何か?『オードリー・ヘップバーンの言葉』記事リストはこちら!
美・愛・仕事・人生・使命の5つをテーマに、大女優オードリー・ヘップバーンが残した人生のヒントがつづられています