【理想の間取り】「子ども部屋」は成長を見ながら親が考えて決めるべき

多くの人にとって人生で一番大きな買い物である「家」。老後の過ごしやすさなど、いろいろ考えて建てたのに、しばらく暮らすと不便な部分がチラホラ...。その理由の一つは「間取りのプランニング不足にある」と現役工務店社長・窪寺伸浩さんは言います。今回は、『いい住まいは「間取り」と「素材」で決まる』(あさ出版)から、「家と人生の関係、理想の間取り」について連載形式でお届けします。

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【子ども部屋】善し悪しで将来が決まる

住まいの持つ重要な役割の一つに、子どもの躾のための環境づくりがあります。子どもたちが健全に育っていく基礎には、住宅の環境や「子ども部屋」の計画の良し悪しが大きな影響力を持ちます。

それでは、子ども部屋はどのような環境が良いでしょうか。理想は、北窓で落ち着いた部屋です。南窓で日当たりの良い明るい部屋でもなければ、西窓で赤外線がよく入る暖かい部屋でもありません。その理由をご説明しましょう。

「子どもに満足を与えてはいけない。重要な人間に育てるには、まず苦労を与えよ」。

かつての子弟教育の在り方は、このような勤勉と不屈の精神を植えつけることから発想されていました。

一方で、現代の教育は、一概に言うことはできませんが、親の無謀なまでの期待、勉強の押しつけ、さらに、一方ではご機嫌とりに、わがままを認め、まるでこわれ物でも扱うかのように育てる。その結果として子どもに裏切られ、同時に子ども自身を不幸に陥れる。このような傾向が一般的になっているように思えてなりません。

すでに申し上げた通り「子どもは家の宝」です。ところが、一度躾を間違えると、親子の間には深い亀裂が走り、まるで敵同士のような関係にもなりかねません。毎日、親と子のトラブルが絶え間なく起こっています。私たちが新聞などを通して知る事件は、まさに氷山の一角であり、実に多くの親たちが子どもの親不孝に泣いているのです。あなたのお子様に限って、そんなことは決してないでしょう。

しかし、万が一のために、住まいが子どもに与える影響を充分に研究しておくことをぜひともおすすめしたいのです。

さて、一般に「子ども部屋」というと、子どもが勉強する場所と寝る場所を兼ねています。

小学校高学年、または中学校への入学の時期になると、子どもは自己意識を強め、自らの判断で物事を決めようとします。つまり、個性がハッキリしてくると、自分だけのプライバシーが守れる部屋を要求するようになります。その要求に応えることは、教育的な意味からいっても必要なことでしょう。しかし、ここでどんな部屋を与えるかが問題になるのです。貴重な費用を投じて子どもに個室を与えるのです。すべて、子どもの言いなりになってしまってはいけないはずです。

設計の打ち合わせの中でよく聞く言葉に、「子どもと相談してから決めます」というのがあります。これも一概には言えませんが、子ども部屋の位置や広さ、壁の色や床の材質などは、親が子どもの性格に合わせ、冷静に、客観的に決めるべきで、それがほんとうの親心ではないでしょうか?

正しい考えであれば、もちろん、子どもの意見を入れてもいいでしょう。しかし、子どもは知恵が進んでいても親のような経験がありません。何でもかんでも「子どもがそうしてほしいと言っています」では、無責任な親と言わざるを得ません。子ども部屋の良し悪しが子どもの運命を左右します。

貴重なお金を使って、子どもに怠惰な心や贅沢心を植えつけるようでは、子孫繁栄とはなりません。

強い信念、素直な心、反省と感謝のできる子どもを育てるために、充分に研究することをお願いします。

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【理想の間取り】「子ども部屋」は成長を見ながら親が考えて決めるべき 039-syoei.jpgキッチンやリビングから玄関に階段まで、あらゆる「理想の間取り」が分かります

 

窪寺伸浩(くぼでら・のぶひろ)

1961年、東京都生まれ。台湾、中国などから社寺用材の特殊材の輸入卸を行うクボデラ株式会社代表取締役社長。東京都神棚神具事業協同組合理事長。「幸福を生む住まいづくり」を提唱する環境研究グループ「ホーミースタディグループ」の中核メンバー。神棚マイスターとしても活動する。著書に「なぜ成功する人は神棚と神社を大切にするのか」(あさ出版)がある。

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『いい住まいは「間取り」と「素材」で決まる』

(窪寺伸浩/あさ出版)

自分の年齢や家族の人数、暮らし方や重視することの変化にうまく対応する「家」とは、どうあるべき?長い人生を快適に暮らしていくための「間取り」と「素材」の決め方を、現役の工務店社長が教える「家づくり」の解説本。家族が長く、幸せに住める住まいづくりの方法が分かります。

※この記事は『いい住まいは「間取り」と「素材」で決まる』(窪寺伸浩/あさ出版)からの抜粋です。
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