【理想の間取り】家族の健康を支える「キッチン」は太陽光が差す場所に

多くの人にとって人生で一番大きな買い物である「家」。老後の過ごしやすさなど、いろいろ考えて建てたのに、しばらく暮らすと不便な部分がチラホラ...。その理由の一つは「間取りのプランニング不足にある」と現役工務店社長・窪寺伸浩さんは言います。今回は、『いい住まいは「間取り」と「素材」で決まる』(あさ出版)から、「家と人生の関係、理想の間取り」について連載形式でお届けします。

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家族の健康を左右する【キッチン】

「キッチン」は住まいの「根幹」です。家族すべての生命を維持し、家族の中心である主婦が最も長い時間いる場所でもあります。それだけに、主婦の健康と家族全員の健康に及ぼす影響力は、はかり知れないほど大きなものです。キッチンについては、特に真剣に研究し、検討を重ねなければなりません。

あなたは朝日の差し込むキッチンと、いつも暗い北や西側のキッチンと、どちらをお望みですか?改めてお聞きするまでもなく、ほとんどすべての方々が、朝日の差し込むさわやかなキッチンをお望みです。ところが、中には、そうでない方がいらっしゃるのです。

北側の寒いキッチンや、西側の暗いキッチンで、長年炊事をなさってきた方の中には、「暗いキッチンに慣れていますから、朝日など差し込む明るいキッチンでなくてもけっこうです」と、おっしゃる人がいるのです。

また反対に、朝早くから家の中に陽が入る家にお住まいの方は、「朝の陽も夏場は暑くて困ります。ですから、キッチンは北でも西でもけっこうです」と言われます。

前の例の方は、明るいことがどんなに素晴らしいかをご存じない方であり、次の例の方は、暗いキッチンのわびしいことを知らない方です。

しかし、そのようにおっしゃる方も、実際に朝日の入るキッチンや暗いジメジメしたキッチンをご経験になると、「やっぱり朝日がいい」と、決まっておっしゃるのです。

朝から昼にかけて、つまり午前中の太陽の光には、食物の腐敗を防ぐ殺菌力を持った紫外線が最も多く含まれているといいます。また、生気みなぎる朝の日差しは、主婦にとって、このうえない目覚ましであり、活力剤です。

冬の厳しい寒さが身にしみるキッチン、夏の湿気と暑さに蒸される台所、主婦のストレスはこのようなキッチンで最も起きやすくなります。

主婦のストレスの温床ともなりがちなキッチンの環境の良し悪しは、精神衛生ばかりか、肉体的なストレスの原因ともなりかねません。主婦の不健康は、即、家族全員の不健康につながります。キッチンは家族の健康、そして生命を大きく左右します。

食物を扱う所ですから、何よりも清潔が第一でなければなりませんが、キッチンを清潔に保つには、その位置が大きく影響するという事実をほとんどの人が知りません。

設備や機能性については、誰もが関心を示します。一般の方はそれでも仕方がないかもしれません。しかし、専門家といわれる人の中にも、設備や機能性のみに目を向け、その位置の大切さを知らない人が多いのです。

キッチンには一体どのくらいの物があるのでしょう?ヤカン、ナベ、お玉、洗剤などの数え切れないほどの台所用品、それこそ数限りない食器類。それも毎日使うものと、たまにしか使わないもの。お米やさまざまな保存食料、調味料、冷蔵庫に入らない生もの、ここで私が全部並べたてるまでもなく、その種類の多いことは皆様自身が一番よくご存じです。

ちょっと使ったものを、うっかりそばに置きっぱなしにして、ひょっとした拍子に、ひっくり返してしまった。どなたも一度や二度は、そんな経験をお持ちのはずです。「小さい戸棚でもあったら」、そう思って買い込んでみても、今度はその戸棚が原因で、ますます収拾がつかなくなる。

だから、私たちは「空間を徹底的に利用して、つくりつけの収納棚を徹底的につくりましょう」とご提案しています。ですから、私たちがつくるキッチンは、だいたいが収納棚のたくさんあるものになってしまいます。

ただし、むやみやたらにつくっても意味がありません。それぞれ収納するものを考えて、奥行きを変えてつくるのです。

手前のものをどけて、奥にある物を取り出す面倒くささ、煩わしさは、主婦の方が一番よくご存じのはずです。その他にも、いざという時のために、非常食料などを備えておくスペースも必要でしょう。いずれにしても、床から壁全面に至るまで考えられる限りの収納スペースを確保するよう計画していただきたいのです。

キッチンの「二段窓」は、主婦の健康を守るために、大変に重要な役割を果たします。寒い冬には、上の段を少し開けて換気を、春や秋の気候の良い時は、上の段の窓を開け放して新鮮な空気を一杯に取り入れ、夏は上も下も全部開けて、さわやかな風を取り入れる。二段窓にするとしないとでは、その使い分けが何倍も違います。

ガスを扱い、火を扱うキッチンは、いってみれば、家の中で最も危険な場所です。炭酸ガスや一酸化炭素から主婦を守る大切な窓が「二段窓」なのです。

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039-syoei.jpgキッチンやリビングから玄関に階段まで、あらゆる「理想の間取り」が分かります

 

窪寺伸浩(くぼでら・のぶひろ)

1961年、東京都生まれ。台湾、中国などから社寺用材の特殊材の輸入卸を行うクボデラ株式会社代表取締役社長。東京都神棚神具事業協同組合理事長。「幸福を生む住まいづくり」を提唱する環境研究グループ「ホーミースタディグループ」の中核メンバー。神棚マイスターとしても活動する。著書に「なぜ成功する人は神棚と神社を大切にするのか」(あさ出版)がある。

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『いい住まいは「間取り」と「素材」で決まる』

(窪寺伸浩/あさ出版)

自分の年齢や家族の人数、暮らし方や重視することの変化にうまく対応する「家」とは、どうあるべき?長い人生を快適に暮らしていくための「間取り」と「素材」の決め方を、現役の工務店社長が教える「家づくり」の解説本。家族が長く、幸せに住める住まいづくりの方法が分かります。

※この記事は『いい住まいは「間取り」と「素材」で決まる』(窪寺伸浩/あさ出版)からの抜粋です。
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