上手に気遣いしながら、つい「いい人」になって、ツラくなってしまっている人いませんか? そこで、カウンセリング歴25年、8万件を超える臨床経験のカリスマ心理カウンセラーの最新作『「ひとりで頑張る自分」を休ませる本』(大嶋信頼/大和書房)のエッセンスを、連載形式でお届け。脳科学と心理学に基づいた「自分中心」になる生き方で、周囲も自分も輝かせる秘訣をご紹介します。
「自分中心」になる途中が、一番嫉妬される
「いい人」がやめられないという理由の一つに、「自分を中心にした時の、周りからの嫉妬」があります。嫉妬は動物的な脳の発作で、この時「あの人だけ自分を中心にしてずるい」と脳内で過剰な電流が発生します。その発作の電流が相手から届いて脳が感電させられると、罰を与えられている感覚になるため、受けた側は「自分を中心にしちゃいけないんだ!」と思ってしまいます。自分を中心にして自由になっても、周囲からの嫉妬の電気ショックを浴びることで「いい人」に引き戻されてしまうのです。
「いい人」が自分を中心にして生きることで、楽しくなったり幸せになってちょっとでも輝いたりしたら、「あなただけずるい!」と周りの人たちは嫉妬の発作を起こします。周囲の人は嫉妬の発作を起こしてしまうと、破壊的な人格に変身してしまいます。そして「いい人」に意地悪なことや嫌みを言ってくるのです。
嫉妬された人は、その破壊的な言動を真に受けて「私が悪いことをしたからこの人はこんなことを言うんだ」と反省してしまいます。
だから結果的に「自分を中心にしちゃダメなんだ」と思ってしまい、人の気持ちを考えて「いい人」を演じ続ける生活から抜けられません。
だから「いい人」は「自己中心」とか「自分勝手」と言われることをものすごく恐れ、そうならないように、いつも人のことを中心に考えるようにしています。
「自分を中心にしようとすると嫉妬される」という現象には、面白いパターンがあります。それは「中途半端に自分を中心にしようとすると嫉妬される」というものです。
自分の心を円で表現したとしましょう。
その円の中心が「自分を中心に考えている状態」だとします。
中心から外にいくほど「他人のことを考えちゃう状態」ということになります。
「いい人」は「中心に向かうほど嫉妬されちゃう」と思っています。中心とは「自分のことだけ考える状態」というものです。
だから「程よいバランスで」と思って「自分だけじゃなくて人のことも考えなきゃ」と中心から外れてしまいます。
でも、実際は「中心にいけばいくほど嫉妬されなくなる」という、「いい人」が知らないパターンがそこに隠れているんです。
自分を中心にすればするほど、嫉妬されなくなり、嫉妬の電流を受けなくなります。ただし、「自分中心」状態に向かう努力をすれば、その途中では周囲からの「ビビビッ!」という嫉妬の発作が飛んでくる、という現象が起こることになります。
なぜなら今まで「自分中心」状態にしてこなかったから、それを実感できるまでちょっとだけ時間がかかるから。
その過程で、周囲が嫉妬の発作を起こして意地悪、嫌み、そして悪口を言ってきて、その人を「いい人」に引き戻そうとします。よくあるのが、頭が真っ白になってしまい、自分がやりたいことができなくなること。
それは「嫉妬の電気ショックで感電している状態」です。
「いい人」が「自分中心」状態の生活に変えれば、嫉妬の発作を周囲が起こすので、「いい人」の脳が感電してしまい、頭が真っ白になったり、失敗ばかりしてしまいます。
相手が嫉妬しているかどうかがわからないから、「いい人」は嫉妬に感電していることなんか想像もできません。
そんな時は「嫉妬の電気ショックを浴びているから頭が真っ白になるんだ」「もっと自分を中心にすればいいんだ」という風に自分を中心に考えていくと、頭が働くようになり、効率よく動けるようになっていきます。
とはいえ、人からの意地悪な言動を浴びた時に「いい人」はショックを受けて落ち込んでしまいます。
なぜなら「いい人」は嫌われることがものすごく苦手だから。
でも、相手は嫌っているんじゃなくて「嫉妬の発作を起こしているだけ」なんです。
だから「いい人」は「自分をもっと中心にする必要があるんだ」と自分をもっと中心に持っていくと、嫌われることが怖くなくなります。
相手は嫉妬の発作を起こしていただけ、というのが円の中心に到達した時にすべてがつながって見えてきます。
そして、周りの人は嫉妬の発作を起こさなくなり、「いい人」を気にすることなく淡々と生活している様が見えてくるんです。
第3章「自己肯定感をジャマする万能感を捨てる」、第6章「『嫌われる』が怖くなくなる」など、「いい人」をやめたくてもやめられない人のための「目からなうろこ」のメソッドで、心が晴れる一冊です