いろいろと気にしすぎていつも失敗ばかり...意外と多くの人が持つこの悩み、実は「自意識」が原因なんです!臨床件数約8万件の有名カウンセラー・大嶋信頼さんの著書『「気にしすぎてうまくいかない」がなくなる本』(あさ出版)から、過剰な自意識を抑え、人生をラクにしてくれる「無意識」の使い方を連載形式で紹介します。
こちらの反応で相手の態度が変わる
憧れのギタリストとかバレリーナだったら「彼らの無意識を使って面白いことをしちゃおう!」と思えるのですが、いつもきつい態度をとってくる人のことを考えると、早くどこかに行ってくれないかな、この人どうにかならないかなと誰もが思うことでしょう。
実際に私の周りにもこっちがいい気分になっていたら、不快なことを言ってきたり、変ないちゃもんをつけてきたりして、気分を台無しにしてくれる人がいました。
「この人どうにかならないかな~」と思っている時に思い出したのが、大学時代のノノマン教授の授業でした。
ノノマン教授は教室の端から端へと歩き回る方で、私たちは「ちょこまか動くのが気になって授業に集中できない」といつも思っていました。
そこで、心理学のクラスのみんなと話し合い、作戦を立てたのです。ノノマン教授が教室の左端に立った時だけ、みんなが「ニコッ!」として顔を上げて、教授の話に「うん、うん」と頷いて真剣に聴いているフリをします。
そして、教授がその位置から移動して動き回ったら、みんな下を向いて、教授の話に一切反応しなくなる。
それをみんなで続けていたら、いつしかノノマン教授は教室に入ってきた時から左端に立つようになりました。そして、歩き回ることなく黒板にしっかり要点を書いてくれるようになり、「やった~!」とみんなで喜んだことがあったのです。
これを気分を台無しにしてくれるあの人に対して使うと次のようになります。
不快なことを言ってきたら、表情を一切変えないようにする。そして、ちょっとでも優しい言葉をかけてきたり、前向きな発言をしてきた時に、ものすごく極端な笑顔を作って「うん、うん」と頷くようにする。
すると「あれ、不快な人の態度が変わった!」となったのです。
それまで「あの人って絶対に気分をぶち壊すんだから!」と思っていたことが、自然となくなり、それは本当にびっくりするほどです。
楽しいことだけ反応してみる
この話を聞いたある奥さんは「自分の旦那も本当に変わるかな?」と疑いながらもやってみることにしました。
その方の旦那さんは、例えば食事をする時など「前のほうが美味しかった!」とか「お前はお金を使いすぎている!」「無駄な食材が多すぎるんだ!」などと、いつも「カチン!」とくるようなことばかり言っていたそうです。
奥さんは、気晴らしに外出しても、そんな旦那さんによっていつも気分が引き戻され、「もういや~!」となっていたのです。
そこで奥さんは、旦那さんが不快なことを言うと、表情も何も変えずに聞き流し、旦那さんが「聞いているのかよ!」と怒り気味になったら、その場を去る、ということを実際にやったそうです。
始めた当初は「やっぱりこの人は肯定的なことを何一つ言わない人なんだ」ということに「ムカつく!」となっていたそうですが、しばらく続けていたら、食事中にあの旦那さんから「これ美味しいね」という言葉が出てきてびっくり。
今まで不快な言葉しか出なかったので、危うく「笑顔」を忘れそうになったようですが、「あっ、そうだ」と思い出して、極端な笑顔を作って、「うん、うん」とうなずいてみたそうです。すると、あの文句しか言わない旦那さんが「最近、綺麗になったね!」と言ってきて、また「うん、うん」と満面の笑みでうなずく。こんなことを続けていると、いつしか旦那さんは褒め上手になり、奥さんの家事まで手伝ってくれるようになったそうです。
これもタネを明かせば「楽しいor楽しくない」で反応するようにしただけです。
「楽しくない!」ということに反応していたから、どんどん意識的になって、不安が現実になっていただけ。「楽しい!」だけに反応することでちゃんと無意識が働いて、これまでと全然違う現実を作り出してくれるのです。
4章にわたり、人間関係や仕事などテーマごとに悩みを解決できる「無意識」の使い方が解説されています