「食後にお皿をまとめる」「落し物を自分の物にしない」「見えないところで努力する」――。日本で長らく育ってきた方であればきっと普通のことだと感じるでしょう。でも、外国人からしてみると、実は想像できないほど不思議な行動だそうです。「幸せに生きるコツは日本で見つけた」という、来日30年を超えるアメリカ人女性が気付いたのは、この行動や考え方は世界に誇れるということ。外国人から見た、「日本人の本当のすごさ」についてお届けします。
日本には「デザイン」「独自性」「ストーリー」がある
日本は、2013年に観光誘致対策の効果で、はじめて外国人渡航者1000万人を突破しました。さらに日本政府は、2030年までに6000万人の観光誘致を目指していることを発表しています。
ハワイ出身の私には、日本のこれからの未来が見える気がします。
私が小学生だった1975年。日本人観光客は、日に焼けないように帽子をかぶったまま海に入ったり、水着姿にもかかわらずビジネスシューズを履いていたり、最先端のカメラを首からさげていたりしました。とても目立ち、私たち地元民から見て、不思議な人たちに見えたものです。
それが数年たつと、アメリカの公立高校では、これまでのフランス語とスペイン語に加え日本語が選択できるようになりました。観光関連の企業に就職したがる友人たちはみな日本語を選び、本気で取り組んでいたことを思い出します。
そのころから、ハワイの経済活性化のために日本人は欠かせない、と認識されるようになり、日本人は「不思議な存在」から「大切なゲスト」へと変わりました。
日本人の観光客はハワイの魅力にくわしくなり、滞在先も定番のワイキキやホノルルから、よりローカルなハナウマベイなどへと広がりました。
そして最近では、日本の知人から「マウイ島の○○で別荘買いましたよ」などと言われるようになり、私以上にハワイのディープな場所を知っています。いまでは、日本人がハワイになじみ、地元民の仲間入りを果たしたといっても過言ではありません。
日本語が就職に役立った30年前のハワイと同様、英語が日本の若者にとってのサバイバルスキルとなっています。海外マーケットを本気で意識している日本の中小企業も採用条件に「外国語」を重要視しているなど、日本の国際化は大きく加速しています。
こうしたまさにミラクルな国際化は、日本にとって大きなチャンスです。このチャンスを見事に生かしている企業を分析すると、3つの共通キーワードが浮かんできます。
「デザイン」「独自性」、そして「ストーリー」です。
日本的なデザインセンスは世界中から絶賛されています。特に、エコを意識したグリーンなスマートデザインは、いまや世界共通のトレンドです。エコの要素をどこかに取り入れることによって、日本企業は万国共通の意識に通じることができるのです。
そして重要なポイントは、そのスマートさが、どこへ行っても手に入らない日本だけのオンリーワンの独自のものであることです。
オーガニックな素材を用い、生産過程にとことんこだわり、手間ひまをかけてつくられたMade in Japanのプロダクトや農産物などは、ほかの国のものよりも価格は高いかもしれません。
しかし、そのものづくりにかける想いやストーリーをどれだけ伝えられるかが、宣伝するときの重要なポイントとなります。商品の独自性の「理由」を言葉にし、さらに英語にして海外の人へ伝えることが、価値の裏づけとなり、世界中の本物志向の顧客の納得につながるのです。国際化で何かを失うとか、大切なものが薄まるといった心配はすでに過去の悩みです。
国際化が進んだ日本がアイデンティティーを自覚し、世界中の人々に日本の誇れるところを伝える絶好のチャンスです。
相手から異なる文化や習慣を学び、受け入れること。そして、相手に自分たち日本の文化、習慣を受け入れてもらうこと。この両面を意識して実践することができれば、日本はよりいっそう、深みのあるゆたかな魅力ある国として、世界に存在をアピールできるに違いありません。
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