「食後にお皿をまとめる」「落し物を自分の物にしない」「見えないところで努力する」――。日本で長らく育ってきた方であればきっと普通のことだと感じるでしょう。でも、外国人からしてみると、実は想像できないほど不思議な行動だそうです。「幸せに生きるコツは日本で見つけた」という、来日30年を超えるアメリカ人女性が気付いたのは、この行動や考え方は世界に誇れるということ。外国人から見た、「日本人の本当のすごさ」についてお届けします。
"目立たない努力"に恰好よさを感じる日本人
先日宮崎県の小林市で、インバウンドのコンテンツを外国人目線から発掘するためのリサーチトリップを行いました。そのなかで、プロフェッショナルモニター2名と組んで、宮崎県小林市のオンリーワンを一生懸命に探し、観光客から見た小林市の魅力、観光客の受け入れ体制について提案するセミナーにも参加しました。
そのセミナーの事前打ち合わせで、私たちのチームの1人が「多言語音声案内システム」について、来た人にプレゼンしたいと言いました。とても便利なもので、日本のほかの街や博物館で成功例もしっかりあります。
しかし、フィードバック中心のプレゼンで「押し出す営業」をするよりも、成功例を紹介し、観光客対応の1つの手段として説明することにしました。
そして、名刺交換の後、興味のある方に手書きのお手紙を同封したパンフレットを送ることが、"さりげない静かな営業"になるという結論になりました。控えめな営業が重要だと、日本滞在のあいだで私たちはよくわかっていたからです。
日本人はさりげないアプローチ、控えめなスタンスが大好きなのです。じつは、多くの外国人がこの日本の控えめなスタンスを称賛し、かっこいいと思っています。
海外のメディアも「under the radar(目立たない)好みの日本」に注目しています。多くの外国人が情報源として見ているニュースサイト「Quartz 」では、頻繁に特集を配信します。先日は「ジャパニーズデニム」が取り上げられました。
世界トップ10のデニム企業の多くが日本の企業だというのに、そこで強調されていたのは、それぞれの企業が、どうやってここまで控えめな状態を保てているのか、ということでした。
「日本はアピールが下手」と日本人から説明されたことがあります。たしかに日本人・日本企業はアピールが苦手なところもありますが、「隠れて結果で見せる」ことを好むだけのことです。世界一のもの、世界のほかのところにないものをもっているのは、まさに日本人が好む状態ですね。
ジャパニーズデニムは、世界中のデニムファンのなかでは、1つのブランドであり、ステータスにもなっています。昔のようなカジュアルなジーンズと異なり、よく見ないと気づかないくらい濃い色のブルーデニムが、ビジネスパーソンの間でも人気があります。
ワイシャツやネクタイに黒のブレザー、そこにジーンズを組み合わせる。こういったオシャレな男性の姿が増えているのを、みなさんもお気づきでしょう。
アメリカのシアトルに住む弟の話によると、日本のジーンズをはいていると周りから、「それは〇〇版ですか」と聞かれるそうです。ジャパニーズデニムについてくわしい人が世界中で増えていることを実感します。
控えめで堂々とせず、静かに大きな成果を出す日本人の姿勢を見ると、同じこだわりをもつ外国人もどこかでほっとします。来日して、居場所を見つけたと言う友人もいるのです。
外国から来た知り合いは、日本の道路の平らな仕上がりを見て「完璧に平らで、真ん中の白い線も真っ白で、すごい完成度!」と感動していました。仲間を見つけたような気持ちになります。
「ナンバーワン」をあえて主張したがらない日本人の気持ちに共感する人が世界中にいますし、日本人のみなさんは「アピール上手にならなきゃ!」とプレッシャーを感じる必要はありません。
目立たないこともすてきな美徳であることをぜひとも自負し、自信をもっていただきたいです。
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39の「日本人の特長」がつづられた本書は、読むだけで何だかうれしくなります