いろいろと気にしすぎていつも失敗ばかり...意外と多くの人が持つこの悩み、実は「自意識」が原因なんです!臨床件数約8万件の有名カウンセラー・大嶋信頼さんの著書『「気にしすぎてうまくいかない」がなくなる本』(あさ出版)から、過剰な自意識を抑え、人生をラクにしてくれる「無意識」の使い方を連載形式で紹介します。
意識って厄介者なの?
何にも考えずに人と喋っている時は、「スムーズに会話が進んでいて楽しいなぁ~」と思えるのですが、ふと「もし、会話が続かなくなったらどうしよう」と意識したとたん言葉がうまく出てこなくなり、会話が止まってしまいます。
そして、「チ~ン!」とした沈黙で「会話を続けなきゃ!」と焦れば焦るほど、さらに言葉がうまく出てこなくなり「何でだ~」となってしまう。
あるいはお皿洗いのお手伝いで、「おしゃれなお皿だな」と楽しい気分で洗っている時に、「結構高いんだろうな、コレを割ってしまったらどうしよう」と意識をした瞬間に手が滑ってパリンと割れてしまう。さっきまで、あんなに調子よく洗っていたのに急に「なぜ?」。
みなさんはこのような経験をしたことないでしょうか?
意識は本当に厄介です。私は子供の頃、「人はどうやって呼吸をするんだろう?」と意識をしたことで「うまく息ができなくなった~!」となり、父親が運転する車の後部座席で苦しい思いをした経験があります。
「息が苦しい!」と両親に訴えても、「そんなの気にするからでしょ!」と言われます。「意識しちゃったから苦しくなったのに、その苦しさを気にしないなんてどうやったらいいんだ!」と思いながらも、一生懸命に自分で呼吸をしようとするのですが、なかなか苦しさが解消されず、私はいつの間にか苦しさの中で気を失ってしまいました。
意識の悪循環でパニックに
これって何が起こっているのでしょうか?何にも考えないで喋っている時は、楽しく喋れていたのに、会話を意識したとたんに「あわわわ!」と言葉がうまく出てこなくなります。
すると「相手に不快感を与えたらどうしよう!」とか「嫌われたらどうしよう!」ということが勝手に浮かび、緊張で頭が真っ白になって、さらに「うわ~、こんなんじゃ嫌われちゃう~」と焦りはじめます。
そうして焦れば焦るほど意識が働いて「嫌われる~」「見下される~」などと、緊張の度合いが高くなり、うまく喋れなくなるという悪循環に陥ってしまうのです。
お皿の場合では、「意識する」は「高そうなお皿を割らないように気を付けなきゃ」ということ。それを、意識した瞬間に「洗うのが楽しい!」と思っていたことが「割ってしまったらどうしよう」というふうに切り替わってしまいます。
そうして、意識し出すと身体が自動的に緊張し、変なところに力が入ってしまい、手が滑ってお皿を割ってしまうのです。
もっと興味深いのは呼吸でしょう。意識しなければ、私たちは自然に呼吸をしています。
私たちが意識して考えなくても呼吸は身体に必要な酸素を取り込んで、二酸化炭素を吐き出します。運動して、酸素量が普段よりもたくさん必要になったら、呼吸は自然と早くなり酸素を取り込み、二酸化炭素を吐き出すサイクルが早くなります。
自然にやっていることを「どうやって呼吸しているんだっけ?」と意識してしまうと苦しくなってしまうのは「意識」することで「うまく呼吸ができなかったらどうしよう」と余計なことを考えてしまうから。
そうして、苦しくなると、「うわ?!どうしよう!」とパニックになるのです。
意識という審判がホイッスルを連発?
「意識」は「うまくいくorうまくいかない」という判断をします。「正しいor間違っている」や「善or悪」などを判断するのも意識。たとえるなら、自分の中に審判がいて、「それ間違っています」「ピ~!」とホイッスルを鳴らされ、楽しんでいた試合を止められるような感じです。
「それ反則!」「それも間違い!」と意識がホイッスルを連続で鳴らすことで「思い通りにプレイができなくなった」という状態が「意識する」ということなのだと私は考えています。
人と会話をしていて「これを言ったら嫌われる!」「話し方が場を白けさせる」などと思い、意識が「ピッピ~!」とホイッスルを連続で鳴らすことで、どんどん喋りがぎこちなくなります。
このように一回意識してしまうと、そこから抜け出すのが難しくなってしまうのは、意識という審判からホイッスルを鳴らされ、「ちゃんとやらなきゃ!」とさらに意識が働くからなのです。
しかも、「ちゃんとやらなきゃ!」と意識する裏には「ちっともちゃんとやれていない!」という意識からのダメ出しが必ずあります。
その「ちっともちゃんとやれていない!」というダメ出しで緊張してしまったら、ますます意識がダメ出しをしてきて、その結果、「ちっともちゃんとやれていない!」というのが現実になってしまいます。
意識って本当に厄介なものなのです。
4章にわたり、人間関係や仕事などテーマごとに悩みを解決できる「無意識」の使い方が解説されています