仕事がたまる、残業が減らない、遊ぶ時間がない...そんな人は「時間の使い方」が悪いのかもしれません。毎月1冊、10万字の本を書き続けている人気ブックライター・上阪徹さんが実践している「時間術」についてお届けします。成功者3000人を取材して学んだという「時間の哲学」に満ちたメソッドは必見です!
※この記事は『大人の時間割を使えば、仕事が3倍速くなる! プロの時間術』(上阪徹/方丈社)からの抜粋です。
ゴールから逆算して細分化していく
月に1冊ずつ本の仕事を抱え、それ以外にもインタビューの仕事があったり、執筆の仕事があったり、講演の仕事があったりする。一方で私は飲み会にも行きますし、土日は基本的に休みますし、旅行にもよく行きます。徹夜などは絶対にしません。
いったいどうやってスケジューリングをしているのか。
端的に答えれば、「小分け」と「時間割」というキーワードが挙がります。私は、あらゆる仕事を小さく分割して「小分け」にし、それを1時間枠の「時間割」に当てはめて日々を送っているのです。
仕事が決まると、まずその仕事のプロセスを分割します。そして何時間、必要になるのか、整理する。それを1時間の枠で区切った時間割に当てはめていく。小学校のときの時間割を思い浮かべてください。言ってみれば、あれを毎週、作っているのです。
基本的に仕事は一度に一気にやりません。早く手をつけますが、何日にも分割して行うことが多い。そのほうが効率がいいからです。
しかも、いつ何をやるか、きっちり時間割で定めますから、たくさんの仕事が同時並行しても問題ありません。時間割通りに推し進めれば、確実にどの仕事も終わるからです。そして時間割に入らない、と思えば、仕事は受けない。
仕事を引き受けるルールも、私の場合は基本的にスケジュールです。
この仕事のやり方の原点にあるのは、中学生の頃の経験でした。1学期になって初めての定期試験が行われたのですが、私は戸惑いました。定期試験のための勉強をどうやっていいのか、わからなかったからです。しかも、科目数はとても多い。真っ先に気づいたのは、一夜漬けではまず無理だ、ということでした。
ちょうど試験の1週間前から部活(私はバスケットボール部に所属していました)も休みになり、授業が終われば家に帰ることができました。さて、どうやって勉強するか。しかも、私は普段は部活に夢中で予習復習などほとんどしていませんでした。
このときまず思ったのは、試験までいったいどのくらいの時間があるのか、でした。試験までの時間の全体像をつかんでおかないといけない、と考えたのです。トータル時間がわからなければ、勉強の時間配分もできない。それを把握するために思いついたのが、時間割を作ってみることでした。クラブがないと、平日は夕方4時には家に戻れる。そうすると、夕食が始まる7時までに3時間ありました。夕食が終わった8時から11時まで勉強するとすれば3時間ある。要するに、平日は1日6時間、勉強に充てられるということです。
土曜と日曜は、無理せず午後から組んでいきました。こんなふうにすべての時間を1時間単位で算出したら、合計何時間使えるか、が見えてきたのです。
トータルで使える時間がわかっていないと、時間配分も考えられない
次は、それぞれの科目にどのくらいの時間がかかるか、です。最も重要な科目は、やはり英語、数学、国語ですから、ここに多めの時間を組む。理科や社会は次。他の科目は直前の1時間くらいでも大丈夫だろうと考えました。
そして、自分で定規を使って作った時間割に、それぞれの科目を1時間ずつバラバラに入れていきました。これで、スケジュールは完成。とすると、この予定通りに勉強をしていけばいい。例えば英語は5コマあるとすると、それぞれのコマで何をしなければいけないのかを考えていく。試験範囲を4分割してこなし、最後はまとめに1時間充てる。先に「ぼんやりこそストレス」と書きましたが、私はこの時間割を真っ先に作りましたので、あとはこなしていくだけ、となりました。ですから試験が近づいてきても、まったくストレスはありませんでした。なぜなら、やるべきことはもうきっちりやってあるからです。
普段は勉強していないので、すっかり詰め込みでしたから、この「時間割勉強法」はとても効率的だと思いました。試験という定められたゴールに向かって、逆算してやることを細分化し、無理なく時間割として組んでいくことができる。
やらなければいけないことは期日までにちゃんとできるので、「ああ、やらないといけない」といったストレスもない。スケジュールを組んだら、ただひたすら、それをこなしていくだけなのです。そして、徹夜のような無理をしなくて済む。
私の今の仕事スタイルは、まさにこれによく似ています。
時間、ひいては人生の哲学から実践的なテクニックまで全6章にわたって丁寧に解説されています。「働き方とは何か」について考えるきっかけにも