仕事がたまる、残業が減らない、遊ぶ時間がない...そんな人は「時間の使い方」が悪いのかもしれません。毎月1冊、10万字の本を書き続けている人気ブックライター・上阪徹さんが実践している「時間術」についてお届けします。成功者3000人を取材して学んだという「時間の哲学」に満ちたメソッドは必見です!
※この記事は『大人の時間割を使えば、仕事が3倍速くなる! プロの時間術』(上阪徹/方丈社)からの抜粋です。
「はっきりしない状態」こそが大敵だと知る
時間というのは人を不快にし、不幸にもしかねないストレスと密接な関わりがある、ということを書いておきたいと思います。
人がストレスを感じる要因には、さまざまなものがありますが、そのひとつに「先行きがはっきりしない、ぼんやりしている」ことがあるのです。
例えば、やらなければいけないことがたくさんあるとき、それだけで押しつぶされそうなストレスを感じたことがある、という人は少なくないと思います。しかし、その理由は明快です。やらなければいけないことが、はっきりと頭にイメージできていないからです。
やらなければいけないことは、これとこれとこれとこれ、いついつまでにこんなふうにやればいい、とわかっていれば、「それなら大丈夫だ」ということがわかりますから実はストレスにはなりません。
ところが、それをぼんやりさせたままの状態にしておくと、「どのくらいあるんだろう」「どうやればいいんだろう」「できるんだろうか」「うまくやれるのか」といった漠たる不安に襲われて、ストレスになるのです。
この「ぼんやりしている」ことこそが、人にストレスを与える最大の要因です。だから、時間管理をするときには、「ぼんやりさせない」ことを強く意識したほうがいい。やらなければいけないことは、できるだけ具体的に洗い出して、「ぼんやりしている」状態をなくすことが大切なのです。「to do リスト」の効能もここにあります。
ただ、問題はこれが意外に面倒なことです。やらないといけないことを細かく洗い出していくのは、手間がかかるのです。それに時間もかかる(多少ですが)。
だから、面倒だなぁ、と手をつけなくなってしまう。そうすると、ぼんやりしたままですから、不安にさいなまれていく。これがストレスになる。
結局、ちょっとした手間を惜しんでしまうことによって、「ぼんやり」が解消されずに、ストレスも消えないということになるのです。
だから、大切なことは「やらなければいけないことをすべてはっきりさせることが大事だ」と肝に銘じておくことです。これを放置したままにしておくと、ストレスを生み出しかねない、ということをちゃんと認識しておく。
実際のところ、「ぼんやり」の解消が面倒くさくて大変だということをわかっているからこそ、究極の形でそれを行っている人たちがいるのだと私は感じています。企業の経営トップなどの壮絶に忙しい人たちです。彼らは、自分でスケジュールをコントロールしていません。時間管理を秘書に委ねてしまうのです。
どうしてかといえば、そのほうがラクだからです。秘書にスケジュールを委ねてしまうと、秘書が「やらなければいけないこと」を明確なスケジュールに落とし込んでくれます。ぼんやりした状態をなくすことができる。やるべきことも、しっかり洗い出してくれる。ただ、それをこなしていけばいいだけです。
しかし、ほとんどの人には秘書はいません。秘書がいないのであれば、自分でやるしかない。
ただ、逆にいえば、しっかりしたスケジュールを自分で作ることができれば、そのスケジュール自体が秘書のようなもの、だということにも気づけます。それに従って、淡々と過ごしていけばいい。
私の時間管理ではスケジュールを作ることにちょっとした時間をかけます。時間をうまくひねり出したいのに、そのために時間を使うなんて本末転倒じゃないか、と思われるかもしれませんが、私は逆だと思っています。
時間管理にちゃんと時間をかけないから、時間もうまく使えないし、ぼんやりしたままのものをたくさん残してストレスにも襲われるのです。
たしかにスケジュールづくりには時間がかかりますが、組んでしまったら、あとは一心不乱にそれをやるだけ、です。そうすれば、やるべきことは終わっている。いわば、秘書に言われたことだけをやっているようなものですが、このほうが、圧倒的にラクなのです。
時間、ひいては人生の哲学から実践的なテクニックまで全6章にわたって丁寧に解説されています。「働き方とは何か」について考えるきっかけにも