仕事がたまる、残業が減らない、遊ぶ時間がない...そんな人は「時間の使い方」が悪いのかもしれません。毎月1冊、10万字の本を書き続けている人気ブックライター・上阪徹さんが実践している「時間術」についてお届けします。成功者3000人を取材して学んだという「時間の哲学」に満ちたメソッドは必見です!
※この記事は『大人の時間割を使えば、仕事が3倍速くなる! プロの時間術』(上阪徹/方丈社)からの抜粋です。
成功者は「時間がない」とは言わない
著名な方々にインタビューをして原稿を作る、ということも大切な仕事のひとつになっている私は、これまで実に3000人以上の人たちにインタビューしてきました。そのほとんどの人たちが、いわゆる功成り名を上げた、いわゆる成功者です。経営者や起業家、タレントやスポーツ選手、科学者や作家、芸術家......。
「そういう人たちの共通項ってなんですか」
とはよく問われることで、講演などでも話をすることがあります。
例えば、意外に思われるかもしれませんが、圧倒的な謙虚さです。「やっぱり有名な人になると椅子にふんぞり返っているんでしょうか」といったイメージを持つ人が多いようですが、たくさんの有名人に会ってきた私の印象はまるで逆です。
むしろ、長く活躍し続けている人ほど謙虚でいい人、なのです。サービス精神旺盛で、こちらの求めていることを想像し、先回りして行動される。ふんぞり返っているなど、とんでもない。
中には例外がなかったわけではありませんが、ごくごく少数。しかも、そういう人たちのほとんどは、やがて表舞台から去っていきました。
また、見ている景色が大きい、というのも印象に残っていることです。目先の利益ではなく、もっと大きなものを見ている。大きな目指すべきものがある。志が大きい、と表現してもいいかもしれません。それこそ、モノやサービスは売れたらうれしいわけですが、売ることはゴールではないのです。売ることで人々の生活が潤うこと。豊かになること。幸せになることがゴール。そんなイメージです。
それこそ上場会社の社長にインタビューするときは、撮影の合間に軽くちょこちょこっとよく聞く質問があります。
「どうやったら、社長になれますか」
直球の質問ですが、実にほとんどの社長が似たような答えを返します。それは、こういう返答です。
「社長になりたい、と思っていないこと」
社長になりたい人は、社長になることがゴール。そんな人を社長にしたら、会社はそこで止まってしまいます。そうではなくて、社長になって何をしたいか、会社をどうしたいか、がある人。そういう人をこそ、社長にしないといけない、と。そして、そんな成功者の共通項に、間違いなくひとつあるのが時間の使い方のうまさです。
まず、振り返ってみて思うのは、「時間がない」という言葉をインタビューで聞いた記憶がないということです。むしろ逆で、みなさん猛烈に忙しいのに、しっかり勉強の時間を設けていたりする。さらに、新しいことを積極的にやろうとしていたりする。今だけでも大変なはずなのに、そこにまた新しいことを加えていく。
仕事でも、趣味でも。ある経営者に言われたのは、「時間は作るものだ」という言葉でした。実際、そうなのだと思います。どんなに忙しくても時間は作ることができる。実際にそうやって、おそらく誰よりも忙しいであろう人たちが、時間を作っている。勉強や新しい取り組みをむしろどんどん推し進めているのです。
その方法論を知る前に、ここで理解をしておくべきは、それだけ時間というものをシビアに捉えているということだと思っています。時間を大事にしている。もっといえば、時間を大事にする人と付き合っている。
私はインタビューの冒頭で必ず繰り出す言葉があります。
「今日は貴重なお時間をいただいて、ありがとうございます」
この貴重さをちゃんとわかっています、というスタンスで取材するか、そうでないか。相手の印象はまるで変わると私は思っています。もちろん、取材中は一秒たりとも無駄にすることのないよう、次々に質問を繰り出していくことは、言うまでもありません。
時間、ひいては人生の哲学から実践的なテクニックまで全6章にわたって丁寧に解説されています。「働き方とは何か」について考えるきっかけにも